ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

WBA世界ミニマム級暫定王座決定戦 カルロス・メロvs高山勝成

2006年11月07日 | 国内試合(世界タイトル)
正直言って驚いた。高山がここまで強いとは思わなかった。
確かにメロが不甲斐なかったという面もあるが、まがりなりにも
世界1位である。それを圧倒したのだから、文句の付けようがない。
これで高山は、世界チャンピオンの称号に相応しい力の持ち主で
あることを世間に証明したと言っていいだろう。


1ラウンドから、とにかく高山が自信満々に攻める。KO勝ちが
わずかに2つしかないメロ相手だからこそ出来たことかもしれないが、
上々過ぎるほどの立ち上がりだ。対するメロは、明らかに動きが硬い。
ただし、力を込めて振ってくるパンチには、KO率以上の迫力を感じる。

意外にも、激しい打ち合いが続く。その中でも、高山は決して打ち負けて
いない。イーグル京和と対戦した時の高山は、手数では上回ったものの
パワーで押し切られてしまった印象がある。要するに「非力」という
イメージがあったのだが、その後に取り組んだ肉体改造の成果か、
今日は力強さが感じられる。2ラウンドには早くもメロをぐらつかせた。

その後のラウンドも、前半は互角に打ち合うメロだが、後半になると
必ず打ち負けてしまう。ペースは明らかに高山のものだ。特にボディが
効いているようだ。

手数の多さは従来のまま、パワーを増した高山の攻撃。メロとしても、
この変貌は恐らく想定外のことだったのだろう。ラウンドが進むにつれて
徐々に調子の出てきたメロだが、それでも高山に上を行かれてしまう。

5ラウンド、メロのパンチが当たってダウンしたように見えたが、
レフェリーの裁定はスリップ。あるいは6ラウンド、ガードの下がった
ところに左フックを浴びたりと、一瞬ヒヤッとする場面はあったが、
その後にまた攻め返し、高山の優勢は依然として変わらない。

それ以降のラウンドも一見すると似たような展開なのだが、少しづつ
高山が打ち勝つ時間が増えていく。怖いのはメロのカウンターだけ、
あとはいつ倒すか、というムードになってきた。

ところが9ラウンド、バッティングによって高山のまぶたから
激しい出血。残念ながらここで試合はストップされてKO勝ちは
ならなかったが、判定はフルマークで高山。まさに圧勝だった。


暫定王座とはいえ、これでWBCに続いてWBA王座も獲得。
日本ボクシング史上、同一階級でWBCとWBAの両方のベルトを
巻いたのは高山が4人目。そして現在日本にいる世界チャンピオンは、
史上最多の7人となった。

高山はまだ23歳。スピードと手数、フットワークといった元々の
能力に加え、パンチ力も増した。まだまだ成長の余地はあるだろう。

暫定王者となった高山は今後、正規王者の新井田豊との統一戦を
義務づけられている。以前は疑いなく新井田有利だと思っていたが、
今日の出来を見ると、どうなるか分からないという気がする。
新井田との対戦が延期になった時は残念に思ったが、これでむしろ、
両者があいまみえる日がこれまで以上に楽しみになった。

ボクシングニュース

2006年11月07日 | その他
徳山の進退、未だ定まらず

 一昨日から昨日にかけて「徳山、PRIDEに転向」という話が、
 ほぼ確定であるかのように報道された。しかしこれはごく一部の
 スポーツ紙が報じただけであり、僕は少し事態を静観するつもりでいた。
 そして昨日の夜遅くに出たこのニュース。やはりPRIDE行き報道は
 勇み足だったようだ。徳山は、自身のHPにもコメントをアップした。

 とはいえ、徳山はあくまで「現役中はPRIDE転向はない」と
 言っているのであって、このまま引退して他の格闘技へ転向する
 可能性はないとは言えない。ここ数日で様々な憶測がなされたが、
 結局は何も確定せず、徳山は煮え切らないままだ。

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 朝になって、徳山の今後に関する新しいニュースがあった。
 スポニチサンケイ、内容はそう変わらないが、トーンがまるで違う。
 スポニチはPRIDE転向を示唆していただけに、こういった
 ネガティブな雰囲気になるのも当然と言えば当然だが。

 相変わらず徳山本人の気持ちは固まっていない部分があるようだが、
 徳山の所属する金沢ジムでは、長谷川穂積とのビッグマッチ実現に向け
 いよいよ具体的に動く意向を明らかにしている。雨降って地固まると
 いうか、これを機にボクシングファン垂涎のカードが決まってくれたら
 嬉しい限りだ。
  

高橋良輔が東洋太平洋クルーザー級に挑戦

 昨年、日本人として初めて東洋太平洋ヘビー級王座に挑戦した(KO負け)
 高橋が、今度は1階級下のクルーザー級王座を狙うことになった。
 しかし高橋は本来がヘビー級の体格ではなく、むしろこのクルーザー級の方が
 本来の良さを出しやすいと思われる。


高山vsメロ、今日ゴング

 新井田豊の負傷により設けられた暫定王座の決定戦に臨む高山。
 他の報道では、視力が飛躍的にアップしたとか、パンチ力が増したとか
 いう話もあった。高山は元WBC王者ではあるが、以前にも書いた通り
 タナボタ的な王座奪取だった観は否めない。高山が本当に世界レベルの
 選手かどうかが問われるのが今回の試合、と言えるのかもしれない。