1287話)広霊県苑西庄村(4)

苑西庄村のたいへんさは、通り一遍の貧しさだけでなく、飲み水にすら困ることです。以前は村のあちこちに井戸があったそうですが、つぎつぎに涸れ、私たちが訪れたころには水のでる現役の井戸は4つしかありませんでした。

村の男たちの朝いちばんの仕事は水汲みです。天秤棒の前後にバケツ2つを下げ、暗いうちから井戸の前にならんで順番を待ちます。遅くなるほど水が濁り、ついにはなくなってしまいます。そうなると、つぎの朝まで待つしかありません。

1日に汲める水は4つの井戸の合計でバケツ100杯。住民は150人。私が「じゃあ、1人あたりバケツ3分の2杯ですね」といったら、そうじゃない、家畜だっている、という声がかかりました。

ちょっとあとのことですが、私がほかに3人の人といっしょに1軒の農家に泊めてもらい、洗面器の底のわずかな水で4人交替で顔を湿らせ、最後の私がその水を庭に撒こうと考えて門口をでたら、主があわてて止めました。止められなくてもわかりましたよ。ヤギとニワトリが駆け寄ってきたからです。洗い物をした最後の水は家畜の飲み水です。

水汲みの写真をさがしたのですが、苑西庄村のものはみつかりませんので、他の村のものをつかいます。
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