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201話)切られた小老樹

 大同県で建設中の白登苗圃と実験果樹園「かけはしの森」は、もともと小老樹の林でした。桑干河流域の環境改善のために、早くも1950年代から、中国政府の音頭で大面積にポプラ(小葉楊)が植えられたのです。初期の生育は順調だったようですが、大きくなるにしたがって、水不足が深刻化し、ポプラとは思えないグニャグニャの木になってしまいました。地元の人は小老樹と呼びます。小さな老いぼれの木、ですね。  でも、そこ . . . 本文を読む
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181話) 狼狗

 犬を散歩させている人とすれちがうとき、いつも感心するんですけど、飼い主と犬がほんとによく似てるんですね。あれは無意識のうちに自分に似た犬を選んでいるんでしょうか。それとも育てているうちに似てくるんでしょうか。つい、顔がゆるんでしまいます。  では、この犬の飼い主はどんな人だと思いますか。この犬は狼狗といいます。中国シェパードといったところ。同じ狼狗でもいろいろですが、彼はものすごく賢いですよ。表 . . . 本文を読む
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180話)農村の小鉄鉱山

 実験林場「カササギの森」とその周囲には鉄鉱石が眠っています。ちょっと上流で開発がはじまり、水がにごったり、大型ダンプが通ったりで、環境が悪化しました。この春には油断しているすきに、私たちの敷地が無断で重機で掘り返されました。カウンターパートの大同市総工会をつうじて大同県政府に強く要請し、なんとかそれはストップしました。  いまの問題は農民によるゲリラです。敷地内の谷の底には砂利がたまっていますが . . . 本文を読む
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179話)大同のヒツジ

 大同でみるヒツジは、いつも下を向いてウロウロしています。頭をもたげているところをみたことがない。そういう骨格なんだろうと思っていました。ところが数年まえの春、農家の庭先に生まれたばかりの子ヒツジがいました。ちゃんと頭をあげているんですね。そりゃ、そうでしょう。頭が下がっていたら、乳を飲むことだってできません。  とにかくエサが不足します。とくに春先は。長時間、同じところにとどまっていると、再生不 . . . 本文を読む
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178話)黄花菜

 大同県あたりの農村を、この季節にくるまで走ると、黄緑色にみえる畑があります。その正体がこの写真。すてきでしょ。レモンイエローのきれいな花で、しかも香りがすばらしい。たいていの日本人がすきになります。といっても、これはわが家の庭で咲いたもので、現地では開花したものはほとんどみられません。なぜかというと、これは野菜扱いで、開くまえのツボミを食用にするからです。  名前は黄花菜、または黄花、金針菜。ナ . . . 本文を読む
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164)緑の小康村

 霊丘県上北泉村は大同市の東南の端にあり、河北省との境界に近く、すぐ前を唐河が流れます。平地がほとんどなく、村の後ろは急な斜面で、アワ・キビなどの雑穀を植えても収穫はわずかなものでした。村の青年たちは貧困から脱出するために、その斜面を果樹園に変える構想を立て、少しずつ実行していました。  私たちが最初にこの村を訪れたのは95年で、翌春から果樹園建設に協力しました。おたがいに渡りに舟だったのです。そ . . . 本文を読む
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159)お皿の底と縁

 いま日本では棚田ブームだそうで、稲作りに挑戦したり、写真撮影に通う人が、私の友人のなかにもいます。でも、この棚田も黄土高原のものはスケールがちがいます。どこまでいっても、とにかく棚田、棚田、棚田…。  日本や中国の都市からきた人は「どうしてこんなところまで?」と不思議がります。そりゃそうですね、中国の国土は日本の26倍もあるんですから。  ところが中国では、海抜5百メートル以下のところが国土の1 . . . 本文を読む
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156)緑化熱

 私たちが中国で緑化に協力しているというと「中国自身が熱心でないのに、どうして?」と言われることがあります。それは大まちがい。中国の環境問題全体をとれば、私は楽観できないと考えていますけど、こと緑化に関してはものすごく力を入れています。世界の人工造林面積の4分の1が中国にあるといわれます。大同は北京の水源であり、春先の風砂の吹き出し口でもありますので特別でしょう。5つもの国家プロジェクトが目白押し . . . 本文を読む
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150)太行山の悲鳴(2)

 太行山に地下資源が多いことは知られていました。霊丘県の資料でも、鉄をはじめ金、銀、銅、亜鉛、鉛、モリブデンなどの金属と石炭、石灰石、花崗岩、方解石、沸石、長石、硫黄などで、40種以上を数えるそう。でも小規模に分散し、交通が不便で、開発資金も不足したため、多くは手つかずでした。  それが最近の中国経済の大発展で鉄もセメントも足りません。価格が高騰しただけでなく絶対量も不足しました。地元にとっては千 . . . 本文を読む
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149)太行山の悲鳴(1)

 ことしの夏、日本の植物の専門家と太行山脈を歩きました。私は4日連続になりましたが、驚いたことにその4日とも山中で重機の音を聞きました。  太白維山は霊丘県城のすぐ南にみえる山で、稜線のシルエットが観音菩薩が寝ているようにみえるそう。なるほど、左を頭に目や鼻がいかにもそのよう。「でも、おっぱいもおちんちんもふくらんでいるじゃないか」と私がいうと、「だから観音様なんだ。観音菩薩は男でも女でもない」と . . . 本文を読む
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141) 遊びの天才

 中国の農村のこどもをみて、子をもつ日本の親たちの感想は分かれます。1つは「オモチャひとつなくてかわいそう」。もう1つは「伸び伸びしていて、目が輝いている」というもの。  でも、こどもって遊びの天才ですよ。この写真、どの脚がどの子のものか、すぐにはわからないくらい。小さなポリ袋にヒモをつけて走り回り、凧のように揚げている子もいました。ものはなくても自分でくふうして、いろんな遊びを考え出すんですね。 . . . 本文を読む
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138)レンガを焼く

 黄土高原の農村には樹木がありません。手っとり早い建築材料は土です。黄土を水で練って型に入れ、天日で乾かした日干しレンガが使われていました。土窰(トゥヤオ)、つまり土でつくった窰洞(ヤオトン)です。ところがこれは地震や長雨に弱く、しかも貧乏たらっしい。それに代わったのがレンガ建ての平房(ピンファン)です。  黄土を水で練って成型し、天日で乾かすところまではいっしょです。材料はそこらぢゅうにいくらで . . . 本文を読む
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135)生態移民村

 大同市最南部の霊丘県は太行山脈のなかです。奥深い山中にも人が住み村があります。ヤギ、ヒツジの放牧や柴刈りのために環境が破壊されます。小さな村でも道路や電気を維持する必要がありますが、そのためのコストもばかにならないでしょう。  大同市政府は、関係者の同意を前提に、2百人未満の村を大きな豊かな村に吸収することを決めました。生態移民といいます。それができれば、人手をかけて植えなくても、森林が再生する . . . 本文を読む
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134)山間の村

 アップダウンをくりかえしながら車は山道を1時間半も走って目的の村に着きました。ところがここは出発点からわずか5キロ。友人の孟さんのつれあいはその5キロの道をロバにまたがって嫁いできたそう。くるまは大回りしないといけません。それを知って私も帰り道を歩いたら1時間半。  黄土高原は土ばかりで石は少ないのです。ですから伝統的な住居は日干しレンガの窰洞。ここ太行山は石だらけで、土は乏しいのです。そのため . . . 本文を読む
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133.太行山

 山西省と河北省の省境にあるのが太行山の大山脈です。私たちの活動エリアの半分がここにあるので、この春も私は歩いています。山頂に立つとどこまでも山また山です。同行している地元のスタッフが「中国大!太大!」と叫びました。中国は広い、広すぎる、というのです。本来なら私が口にすべきセリフでしょう。そして視界のどこかに村がかくれています。  貧しすぎる、ともいえます。平坦な土地がありません。谷底から山頂近く . . . 本文を読む
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