134)山間の村

 アップダウンをくりかえしながら車は山道を1時間半も走って目的の村に着きました。ところがここは出発点からわずか5キロ。友人の孟さんのつれあいはその5キロの道をロバにまたがって嫁いできたそう。くるまは大回りしないといけません。それを知って私も帰り道を歩いたら1時間半。
 黄土高原は土ばかりで石は少ないのです。ですから伝統的な住居は日干しレンガの窰洞。ここ太行山は石だらけで、土は乏しいのです。そのために住まいの壁は大小さまざまの石を積み上げ泥でつないだもの。屋根は素焼きの黒いカワラです。
 電気が通じたのは20年まえ。テレビは衛星放送がはじまるまで映りませんでした。
 絵に描いたような貧しさですが恵まれているものもあります。それは水。谷底に清らかな流れがあり、あちこちに小さな湧き水もあります。中年の男が「みてくれ、この水と空気。この村がいちばんだよ」と話しかけてきました。
 しかし若い人はそれだけでは辛抱できません。みんな外に出稼ぎにでて、村に残っているのは年寄りだけです。もともと百人ほどの小さな村でしたが、いま住んでいるのは30人。
 私たちがくるまでたどった道は最近修理されたそうです。山中で鉄鉱山が開発され、それを運び出すため。村の人が勝手に掘って三輪の農用車で運び出すのにもたびたび出会いました。こうした変化がいいほうにいくかどうか。
 【写真】絵に描いたように貧しい山間の村。しかし清らかな水と空気には恵まれている。
 (2007年4月25日号)
 
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