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178話)黄花菜

 大同県あたりの農村を、この季節にくるまで走ると、黄緑色にみえる畑があります。その正体がこの写真。すてきでしょ。レモンイエローのきれいな花で、しかも香りがすばらしい。たいていの日本人がすきになります。といっても、これはわが家の庭で咲いたもので、現地では開花したものはほとんどみられません。なぜかというと、これは野菜扱いで、開くまえのツボミを食用にするからです。
 名前は黄花菜、または黄花、金針菜。ナマのツボミを炒めて食べると香りもすばらしいんですけど、それは産地ならではのゼイタク。蒸して乾燥したものは日本にも輸入されていて、「百合の花」の名でスーパーの店頭にもならんでいます。
 学名は、Hemerocallis citrina Baroniで、ユリ科ワスレグサ属。日本のユウスゲに形も色もよく似ていますね。私は先週、伊吹山でユウスゲの群落をみてきましたが、さすが、野菜になるくらいで、花の数も大きさも中国の黄花菜のほうがはるかに豊満です。
 ふしぎなのは、大阪近郊のわが家では夕方から咲くのに、北緯40度前後の大同では早朝に開くこと。私はよく、外からきた人が感動するようなところは、地元の人にとっては生きにくい、というようなことをいいますが、この黄花菜もそのとおり。大同では開花は早朝なんですね。そして、開いてしまったら商品になりません。朝暗いうちに起きてツボミを採集し、時間との勝負です。朝食は抜き、水も飲まないで、ひたすら働きます。有利な換金作物ですけど、作業はとてもつらい。
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毎日新聞の記事 (高見)
2008-08-27 17:15:40
 毎日新聞8月27日の夕刊(大阪版)にこの黄花菜=金針菜が紹介されています。インドのガンジーが愛好したとか、アメリカのヒッピーが「山菜の女王」と呼んだとか、私の知らないことばかり。鉄分、カルシウム、植物繊維が豊富なんだそう。貧血、血圧安定、不眠、神経衰弱などの生薬としても注目されてきたのだそう。いいですねえ。
 ちょっと残念なのは、あのなかのイラストがどうもヤブカンゾウがモデルになっているようで、本場の黄花菜とはべつものであること。黄花菜はこのブログの写真にあるとおり、もっときれいです。
 それと別名として「わすれな草」があげられているが、これは「ワスレグサ」のまちがいじゃないかな。このなかまの日本の属名をそういうんですから。
 
 
 
黄花菜の収穫 (高見)
2008-08-27 17:45:35
 本文でも触れていますが、黄花菜の収穫はほんとにたいへんなのです。私は以前、大同県の農家にホームステイしたとき、そのうちのあるじから詳しくききました。この話がとてもおもしろいんですね。それを「黄土高原だより(第175号)」に「雨の日の会話」としてまとめました。
http://homepage3.nifty.com/gentree/tayori/tayori101to200.html
 これを読んで私の先輩は「詩のようだよ。声をだして読みたくなる」といってほめてくれました。
 それはともかく、農村のくらしがいろいろ語られていて、興味をもっていただけると思います。
 
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