|耐震課外授業耐震補強実績授業実践マニュアルアンケート調査報告書お問合せ 2006年度防災教育
 チャレンジプラン選出
 詳しくはこちら

コンビニ弁当と手作り弁当

はじめに。
今回の内容は、コンビニ批判でもなく手作りご飯擁護でもありません。
例えで使わせて頂きます。

今日、NHKの記者から電話がありました。
静岡県建築士事務所協会から紹介してもらったらしく、面白い(目新しい)耐震製品を教えてもらいたいという申し出でした。

面白い耐震製品?
ようするに視聴者が関心をもちそうな性能をもつ製品ということだと私は解釈。

耐震補強で使用する材料には、3つの条件(汎用性があり、誰にでも購入可能で、市場によく出回っている。)があると考えている私にとっては、そのような製品にはそれほど関心がなく、期待通りのアドバイスはできないとすぐ思いました。

代わりに耐震補強について、自分の考えを伝えることにしました。
伝えた内容は以下の通り(感じ)。

耐震補強工事には、二通りの方法があります。
一つは、耐震製品を取付けて耐震性を確保するというもの。
高額で使用方法も限定されることが多いが、正しく取付を行うことができれば耐震性を確保出来る。例えるならコンビニ弁当のようなもの。暖めさえすれば、美味しく食べられる。(万人受けする味付け)

もうひとつは、材料を現場で加工してから取付けて耐震性を確保するというもの。
加工する人間の知識や技術に左右されるが、様々な状態に柔軟に対応可能で、費用も安いことが多い。例えるなら手作り弁当のようなもの。料理人によって、同じ材料を使っても味も見た目も異なる。

そして、厳密には両者をバランスよく組み合わせることもあります。
(例えば、ご飯はコンビニで購入し、メインディッシュは自分で料理するといった感じ)

極端な発言ですが、現在の建築業界は、手作り弁当よりコンビニ弁当が好まれます。
誰にどう好まれるかというと、お客・役人・業者のすべてにです。
(もちろん、そうではない方もいますが、全体的な状況としてはそうだと思っています。)

コンビニ弁当が悪いとは言いません。
私もたまにお世話になりますし、食べたくなることもあります。

しかしですね。
手作り弁当の方が飽きないんですよ。それに食べる人の好みに合わせることができます。
そりゃ誰が作ったか分からない手作り弁当を食べるより、コンビニ弁当の方が安心出来るという考え方もあります。しかし、より作り手のことを知っていれば考え方も変わるのではないでしょうか。
昭和の木造住宅は、住宅によって異なる点が数多く存在します。つまり、個人差があるわけです。万人受けするような味付けより、その人に合わせた味を追求する姿勢の方が安くて効果の高い補強が可能だと考えます。

そもそも目新しくて、面白い耐震製品を取り上げれば補強が増えるなら苦労しません。
根本的に何が原因で補強が増えないのかということをもっとメディアの方には知ってもらいたいという願いがあります。

しかしですね。
やっぱり、難しい内容ではあるので、ひまひとつ伝わりきれていないところがあるらしく、熱意をもって話しても手応えがないというの現状です。
今回もそれは例外ではありませんでした。
NHKの方は、きっと画期的な補強方法を取り上げたかったのでしょう。
しかし、それこそが間違っていると私は言いたかった。でも上手く伝えられなかった。それは、私の説明が下手だったからでしょう。そして、取材する側も調査が十分であるとは思えません。

最近、餃子事件がテレビでよく取り上げられています。
事件の影響で「手作り」餃子が人気らしいという話も聞きました。

私からすれば滑稽な話しです。
安全だと思ってた存在の信頼が失われた結果、手作りが見直されるわけですから。

これは、何も食の世界だけの話ではありません。
一番信用出来るのは、自分自身。
メーカーが開発した耐震製品をただ取付けるような仕事ではなく、材料を加工したり取付け方法を工夫するといった仕事を耐震補強では心がけるべきだと私は思います。

確かに耐震製品に比べたら派手さはありません。
しかし、堅実で自分自身が一番信頼出来る仕事をやった方がよいと確信しています。よくわかっていない耐震製品をむやみに取り付けるのは危険です。

大根をつかった料理はたくさんあるように構造用合板をつかった補強方法だって、考えれば沢山あるわけです。同業者同士で創意工夫して、メーカーに頼らない補強方法を考えるという状況を活性化しないと補強は増えないでしょう。

私は、大工さんにはお弁当を暖めるだけのコンビニ店員ではなく、料理人のようになってもらいたいと思っています。時には、耐震製品を使わなければならないこともありますし、有効性を認めるときは認めないといけません。しかし、基本姿勢として大事に守りたいと思うのです。

それがなかなか伝わらない時があります。
でもそれは理不尽だとは思っていません。

なぜなら言葉ではなく、結果(たくさん補強実績を積む)で伝えれば良いだけの話しですから。

自分の家だから自分で補強したいという一般の方もいます。
私は、それはすばらしいことだと思うのです。
プロの料理人の味を参考に自分で料理したっていいじゃあないですか。
それをお金を頂いて、他人に食べさせるわけではないのですから。

どうしてもプロでなければ難しいところはお願いしても自分でやれるところは自分でやりたい。
私はそういう姿勢を見習わなければなりません。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )