私はウンチだった。
ウンチと云うのは身体から出るアレのことではなく、俗に云う運動音痴のことだ。
だったと過去形で書いたが、現在形かも知れないが昔よりはマシだと自分でも思っているので過去形で書く。
近所に住む小学校の同級生が自転車で走り回っている時、私は未だ自転車に乗れなかった。
呆れた同級生が自転車を支えてくれたけれど、多分半分以上はウンチに対して優越感に浸りたかったのだと思う。
野球をやろうと誘われたこともあったが、私のバットは何とボールにかすりもしなかった。ただ空振りを繰り返すだけ。
実はこれには理由がある。
私は何と振り回すバットにピッチャーの方がボールを当てるゲームだと思っていたのだ。
だから空振りはピッチャーが下手くそなのだと信じていた。
自分の子供が少し大きくなって横の空き地でゴムボールを使い、野球もどきの遊びをしていたら近くの子供たちが集まってきた。
私はバットを握り子供が投げた球に当てるようにフルスイング。
子供たちが「うわっ」と叫ぶ程の飛距離でゴムボールは彼方へ消えて行き、私は思いっきり優越感に浸った。