
昨日の朝、パソコン教室のなかまKM氏と二人で奈良県御所市の南端にある高鴨神社
(タカカモジンジャ)と船宿寺(センジュクジ)を訪れた。快晴に恵まれ、大和葛城山と金剛山
の山腹を越える水越峠のトンネルを抜けて、葛城古道をゆく。
葛城の里は日本神話の舞台として、葛城族、鴨族の本拠地として古い歴史を持って
いる。飛鳥や奈良市内のように観光化されていないため、葛城はどこか神秘的で、
新鮮だ。
風の森から金剛山を正面に見ながら、15分ほど歩くと(今回は車で)高鴨神社
に出る。このあたり、山と田んぼ(いまはレンゲソウ畑)が織りなす景色は絶景
で、金剛山を白い山霧が覆っているときなど、まるで水墨画を見る思いだ。
1)高鴨神社は古代の豪族、鴨氏の氏神社で大和でも屈指の格式を持っている。
京都の上賀茂、下鴨両神社の本家。
境内は杉や檜の大木がうっそうと茂り、古社に相応しい宮池もある。
また神社には珍しく鐘楼があり、中世以降、水争いを避けるための合図として鐘
を撞いたそうだ。
私たちがこの神社を訪れた目的は、全国でも珍しい多品種の「日本さくらそう」
の展示を鑑賞するためだ。社務所の担当者の説明によると、今年は何度も晩霜に
やられ、成績がよくないとのことだったが、それでも飾り棚に200鉢、
私のもっていない品種だけでも100点は展示されていて、見事であった。
数日おきに開花株と置き換えるそうだが、展示用に500種、2500鉢の
ストックがあると聞いた。
即売品も多数用意されていたが、どれも貧弱な苗だったので、買い求めなかった。

さくらそう展示棚(40鉢x5段=200鉢)の一部
2) 船宿寺
国道24号線から標柱にしたがって東南にすこし行くと、山沿いの小道に出る。
旧高野街道である。ここから歩いて緩やかな坂道を上っていくと、
船宿寺の参道である。医王山船宿寺は729年、行基の開基である。
またこの寺は、関西花の寺25ヶ所の一つである。
山門をくぐると、本堂、鐘楼、庫裏が池をめぐって点在する。
参道から山門にかけてヒラドツツジ、本庭にはサツキと牡丹が
よく手入れされた境内を彩っている。
私たちが訪れた日は<花まつり>の期間中で、牡丹と石楠花が見頃であった。
山門近くまで強い香をただよわせていた乳白色の昇り藤と、
淡い緑色の大手鞠の群落が、たいへん珍しかった。
なぜか参拝者がまばらだったお蔭で、私たちは心ゆくまで花を観賞できた。
そのうえ、たいへん幸運だったのは、ご住職の好意で、ふだん一般には
公開されていない中庭を、庫裏の座敷に座って拝観させていただいた。
巨勢(コセ)山系の千年杉を借景に取り入れた小堀遠州の手になる庭
という説明を受けた。
なお、この寺のある地名<船路>や寺の名前の「船」の謂れについての
私の質問にも、丁寧に詳しく説明をいただいた。

船宿寺の山門をバックにKMさん

庭園のなかの一部。石楠花の小道。

手前は白い石楠花。
石楠花の小道を折り返す。手前は新緑の赤いカエデ。

ひっそりと咲く純白のドウダンツツジと、
その拡大写真

開花まえの牡丹
山門近くまでよい香を漂わせる乳白色の昇り藤。
藤色といえば薄紫。垂れ下がる花房が普通だが、
この花は上向きに咲く。

<番外編>
境内の境に沿った竹藪に
無数のタケノ子が。