「古事記は神話ではない」 桜井光堂著 秋田書店
著者によると「古事記」は単なる神話ではない。
神勅*は邪馬台国以前、 日本に3大国家が存在したことをものがたる。 3大国家とは
九州の豊王国、 中国の葦原王国、そして大和の大ヤマト王国である。この3大国家は
のちに豊王国と葦原王国が連合し、豊国王の神武天皇が両国の軍勢を率いて東征し、
大ヤマト中央王国を滅亡にみちびく 。 このようにして新大和朝廷が成立するのである。
これらの事実をしるしたものが「古事記」である。 *神勅とは天照大御神の勅命のこと。
本書は国文学者であり国際法学者でもある著者が「古事記」の成立事情、「日本書紀」
との綿密な比較、 そして大胆、 精緻な論証をあげて、 日本古代国家の謎を解明する。
本書の初版が発行された昭和45年(1970年)に通読し、ユニークな論旨・論点に興味を
もったものの、本棚の隅で埃を被っていたが、昨日再度読み直しはじめたところである。