1)古典園芸植物とは、日本古来特産の植物で、古い昔から日本人に愛され、好き者によって伝承されてきた植物で、
その範囲には万年青(オモト)、蘭(ケイラン)、富貴蘭、長生蘭、巻柏(イワヒバ)、松葉蘭(マツバラン)、
細辛(サイシン)、福寿草(フクジュソウ)などに観音竹・棕櫚竹のほか春蘭・寒蘭などを加えたものです。
それぞれその時代時代に栄枯盛衰があり、あるものは絶種となり、また新品種が生まれたりの変遷を経て
今日に至っています。
2)私の園芸趣味生活30年のあいだにもさまざまな思い出が去来します。
盆栽とはまた異なった意味で楽しさがありますが、葉一枚不注意により失っても姿が変わり、価値が変わりますが、
古典園芸植物は繁殖しますから、たとえ親は倒れても子孫が伝承していきます。そこにまた楽しさ面白さが生じる
ものです。芽吹きしてから一人前になるまで、またその間、親に似ぬ鬼子が出たり、親以上の子が出て、その成長を
見守る楽しさ、繁殖した品が思いもかけぬ高値で取引できたり、反対に高価で買い求めた木が枯死したり、
また出る子が原種に戻ってさっぱり投資効率の悪い品であったり、悲喜こもごもの連続です。
<福寿草> 正月に飾るめでたい花として、昔から寄せ植えや鉢物に仕立てられて鑑賞されてきました。
厳しい寒さに耐え、雪を割って伸びだした大きな蕾は力強く、正月を祝う気分によくあっています。
元旦草、朔日草、賀正草,福神草、福徳草,報春花など新春に因んだ多くの別名があります。
福寿草の名がはじめて現われるのは、「花壇綱目」(1681年)の「春草の部」で、栽培法についても
言及されています。福寿草の園芸品種については、江戸末期の「草木奇品家雅見」(1827年)や
「本草要正」(1862年)に168種が紹介されています。
2月8日撮影。
2月8日撮影。
2月17日撮影。(2株の脇から3株発芽して開花。花弁の色も黄色から黄金色に変化)
乾燥を防ぐため、湿ったミズゴケを置く。
2月17日撮影。福寿草<金閣>
<松葉蘭> マツバランはシダ植物のなかでは最も原始的なもので、世界の熱帯・亜熱帯に分布するが、
わずか1属2種が知られているにすぎない。形態が非常に珍奇な植物で、根や葉に相当するものがなく、
地上茎は二股に分岐して長さ20㌢前後となり、葉が退化した鱗片状の多数の突起がある。地下茎も
二股に分岐して軟毛が密生している。花は咲かず、地上茎の突起に直径2ミリくらいの胞子嚢をつける。
栽培は江戸中期にはじまり、天保7年(1836)に出た「松葉蘭譜」に60品種の彩色図か掲載され、
122品種についての解説がある。
松葉蘭<錦玉>
<富貴蘭> 江戸時代の文化・文政(1804~1830年)のころから観賞用として栽培され、
ブームを断続させながら今日にいたっている。
安政2年(1855)には、「風蘭見立鏡」と題したいわゆるフウラン番付表がつくられ、
118の品種が記録されている。
珍品や貴品には、金や銀の金網がかぶせられ、黒檀、紫檀の台に載せられて出品されたという。
フウランを鑑賞するときは、息がかからないようにと、鑑賞者は白い懐紙を口にくわえなければ
ならなかったそうだ。
趣味人だった将軍家斉がフウランの収集家であったことから、諸大名もそれにならい、
全国から珍しい品種が集まったようだ。したがってフウラン作りは”大名園芸”と呼ばれてきた。
以下の4品種:<兜丸> <十二単> <瀬戸の剣> <立司殿>
は先日の大和愛蘭会主催の交換会で入手したもの。
富貴蘭<兜丸>
富貴蘭<十二単>
富貴蘭<瀬戸の剣>
富貴蘭<立司殿>