狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

ダライ・ラマの知恵 「高度の自治」を対話に向け注文

2008-04-28 08:00:40 | 未分類

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ダライ・ラマ「中国は真剣に」 対話に向け注文
2008年04月26日23時43分<asahi.com>

 【ニューデリー=小暮哲夫】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は26日、チベット亡命政府のあるインド北部ダラムサラで、中国政府と自身の特使との対話について「中国が真剣にチベット人の苦悩を受け止め、解決するなら、やりがいのあるものになる。そうでなければ、ただ対話に行くことに意味はない」と述べた。ダライ・ラマ側近が明らかにした。

 中国が25日、対話の用意があると表明したことに対し、国際社会の批判をかわす手段に終わらせず、問題解決へ実質的に進展させるよう求めたものだ。

 一方、亡命政府も25日夜、「対話を実りあるものにするため、中国がダライ・ラマの前向きな役割を認めることが重要」との声明を発表した。

 ダライ・ラマ側近は26日、「我々は単なる美辞麗句の交換ではなく、意味のある対話を求めている。中国がダライ・ラマを非難する状況はそれを後押ししない」と説明。中国がダライ・ラマに対する「分離主義者」「暴力を扇動している」といった批判をまず撤回すべきだとの考えを示した。

                                               ◇

右翼ブロガーのなかには最近のダライ・ラマ14世の中国に対する姿勢をノーベル平和賞で腑抜けになってしまった非難する向きもある。

最近のダライ・ラマは、中国の嫌がる「チベット独立」と言うより「高度の自立」という言葉を繰り返している。

2007年10月17日に行われたアメリカ合衆国議会黄金勲章授章式のスピーチで、「チベット自治区は中華人民共和国の一部であり、あくまでも高度な自治を求めているのであってチベット独立の考えは無い」ことを表明している。

米議会黄金勲章授章式におけるダライ・ラマ法王のスピーチ(英語)

念のため同スピーチの原文の該当部分を抜き出してみよう。(拙訳)

<On the future of Tibet, let me take this opportunity to restate categorically that I am not seeking independence. I am seeking a meaningful autonomy for the Tibetan people within the People?s Republic of China. >

チベットの未来に関して私は独立を求めていないことをこの機会にはっきりと述べさしてください。私は中華人民共和国の中でのチベット人のために「高度な自治」を求めています。

<Furthermore, I have no intention of using any agreement on autonomy as a stepping stone for Tibet?s independence.>

 更に私は自治をチベット独立のための踏み石にするいかなる協定にも合意する意図は全くありません。

 

うーん、米議会でこれほどまでの「屈中演説」をしているのでは、チベット独立の全面放棄であり敗北宣言ではないか。

保守ブロガーの中に腰抜けという声が上がるのも無理は無い。

ところが中国を相手にするには日本人的直裁な態度では勝ち目は無い。

聡明なダライ・ラマは言動の一つ一つに意味(meaningful)を込めて活動しているのだ。

先ず繰り返される「高度の自治は」は原文ではmeaningful autonomyで、「高度」或いは「意味のある」といった形容詞が付くところにダライ・ラマの遠謀深慮が潜んでいる。

>「我々は単なる美辞麗句の交換ではなく、意味のある対話を求めている。中国がダライ・ラマを非難する状況はそれを後押ししない」と説明。中国がダライ・ラマに対する「分離主義者」「暴力を扇動している」といった批判をまず撤回すべきだとの考えを示した

ダライ・ラマは、中国の対話受け入れを単なる「批判逃れ」に利用されるのではなく「意味ある対話」を対話の条件にしており、それには中国のこれまでの罵詈雑言を撤回せよというのだ。

何よりも面子を重んじる中国様がこれに応じるとは到底考えられない。

だが、百歩譲って中国が罵詈雑言を撤回して、「意味ある対話」が開始されたとしよう。

果たして対話は「意味ある対話」になるか。

否である。

対話のポイントは「意味ある自治(meaningful autonomy)」であり言い換えれば「高度の自治」である。

中国の中での「高度な自治」は、ある意味で独立以上に実現困難である。

なぜならば「高度な自治」が達成された瞬間、チベット人の独立気運は一気に高まるし、そうなるとウイグルや他の少数民族に独立の気運が飛び火するのは火を見るより明らかである。

歴史はたちまち逆戻りして、混乱と分裂から中華人民共和国は一気に崩壊への道へ向かうことは明かである。

仮にダライラマが今回のチベット蜂起の際に自らその先頭に立って「チベット独立だ!」と叫んでいたらどうなっていたか。

その瞬間、中国にダライ・ラマ抹殺の絶好の口実を与える事になる。

その結果、西蔵鉄道を使って人民解放軍が大挙チベットに乗り込み、チベット民族は間違いなく地上から抹殺されていただろう。

中国にチベット抹殺の口実を与えることなく、同時に中国が認めるはずのない「高度の自治」のための対話を求め、国際的な援護と協力を求めるめる。

このチベットの「対中姿勢」は最も現実的なダライ・ラマの遠謀深慮と見る。

一見中国におもねっているように見えても、最終的な独立を勝ち取る為のダライ・ラマの臥薪嘗胆なのだろう。

「チベットの独立は求めていない、中国内での『高度の自治』を求めているのだ」 byダライ・ラマ14世

中国内で「高度の自治」を求めることは「砂漠で落としたコンタクトレンズを探す」に等しい。

国際世論を追い風に、中国が実行できない「高度の自治」をあえて求める。

ダライ・ラマ猊下、お見事!

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