沖縄県知事選では、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非が最大の争点になる。移設を急ぐ安倍政権も徐々に本腰を入れ始め、沖縄では移設問題を通して「ヤマト(本土)との距離感」をめぐる候補者同士の対立が激しさを増す。選挙結果と政権の対応によっては、ヤマトへの不信感が増幅されかねない状況だ。▼1面参照

 

 ■「基地押しつけ」政府批判/自民幹事長招き関係PR

 前那覇市長の翁長雄志氏(64)は30日、同市内で第一声を上げると名護市辺野古に急ぎ、米軍キャンプ・シュワブ前で演説した。「小さな面積に74%の米軍専用施設が置かれている。私はウチナーンチュ(沖縄人)として絶対に許せない。沖縄に対しての、日本政府の品位のなさだ。心を一つにして打ち破らねば」

 もともと自民党の市議、県議だった翁長氏は、辺野古移設を容認していた。しかし2009年に鳩山政権が「県外移設」を模索すると、移設反対を鮮明にした。その後、政府が辺野古移設に回帰しても、立場を変えなかった。

 視線の先には、沖縄の政治勢力の結集がある。本土の姿勢を「差別」ととらえ、対等に渡り合う必要があると考えているからだ。

 翁長氏の選挙は共産、社民、沖縄社会大衆などが支援する一方、一部の自民系地方議員も支える。保守と革新がないまぜになった陣営を「オール沖縄」の合言葉がつなぐ。陣営の会合は「はいさい、ぐすーよー(皆さんこんにちは)」というウチナーグチ(沖縄言葉)で始まる。公約では「沖縄のアイデンティティーの根源」として、言葉の継承をうたった。

 沖縄を結集させる手法として、翁長氏は「ヤマトとの対決」を強調する。公約では原発や格差、カジノに反対し、政権批判が強くにじむ。近い県議は翁長氏をこう評する。「いわば『民族派』。反辺野古と反ヤマトは、彼の中では同じだ」

 沖縄が政府との対決色を強めた時期は過去にもあった。1998年2月、当時の大田昌秀知事が辺野古案を拒否すると、政府は沖縄振興の協議会を凍結させた。同年11月の知事選では、自民党は大田氏への対立候補を擁立。経済の先行きに不安が広がる中、「県政不況」というキャッチコピーを前面に押し出し、大田氏を破った。

 そんな「歴史」を強く意識するのが、3選をめざす現職の仲井真弘多氏(75)だ。周囲に「『お国』と事を構えて沖縄のためになるのか」と漏らし、徹底的に「本土との近さ」を強調。政府から多額の振興予算を引き出してきたという自負が、選挙戦略を支える。

 30日、那覇市内で第一声を上げた仲井真氏の隣に、自民党の谷垣禎一幹事長の姿があった。谷垣氏は「辺野古移設は、基地負担を軽減する唯一、現実的な道だ」。続いてマイクを握った仲井真氏は本島を縦断する鉄道整備の必要性を訴え、「安倍首相にお願いしている。今日は幹事長さんもお見えだから、一つよろしくお伝え下さい」と付け加えた。

 ヤマトとの対決色を強めるのか、協調路線を維持するのか――。両氏の論戦がとがる様子を、元衆院議員の下地幹郎氏(53)は「2人とも弱い。翁長氏は遠くから反対を言うだけ。仲井真氏は根本的に追随型だ」と批判。元参院議員の喜納昌吉氏(66)は経済発展のための「一国二制度」を唱え、中韓などを含む国連軍を沖縄に常駐させると公約し、独自色をアピールしている。(山岸一生)

 

 ■政権、現職支援に本腰 官房長官も現地入り検討

 首相官邸は当初、「政府の立場で地方選挙にいちいちコメントすることは控えたい」(菅義偉官房長官)と、知事選と一線を画そうとしてきた。

 移設を進める立場の安倍政権が知事選の前面に出れば、移設の是非が争点として先鋭化し、移設反対を掲げる候補者を利する可能性があるとみたためだ。また自民党の調査で、県内移設を容認し、党が推薦した仲井真氏の苦戦が伝えられていたこともある。

 だが、政権はここにきて知事選への関与を強めつつある。まず自民党が、告示近くになって選挙情勢に変化が表れたとみるからだ。官邸幹部は「沖縄経済界が仲井真氏支持に転じつつある」と話す。加えて、公明党は知事選で自主投票を決めていたが、知事選と同日選になる那覇市長選では公明が自民推薦候補を推す「自公共闘」が成立。官邸幹は「だいぶ差が詰まってきた」とみる。

 そこで政権は、仲井真氏との「パイプ」を最大限アピール。普天間基地移設後の跡地利用や振興策を前面に出す戦略に転じつつある。

 30日に沖縄入りした谷垣幹事長に加え、世論の人気が高いとされる小泉進次郎・復興政務官らを応援に入れる。菅氏も30日の記者会見で、沖縄入りを検討していることを明らかにした。26日に沖縄入りした西川公也農林水産相は漁業関係者の会合で、沖縄県の漁業振興基金について「新たに基金を積んで、いつでも取り崩しできるお金を約束したい」と宣言した。

 政権が本腰を入れ始めたもう一つの理由は、移設をスムーズに進めるために、できる限り票を集めることが必要だからだ。

 政権は、仮に辺野古移設に反対する候補が当選しても、反対派が主張する埋め立て承認の撤回は、それまでの手続きに過失や問題がない限り、不可能とみる。

 それでも、政府が移設の途中でやむを得ない工法の変更などを県に申請した場合、知事が許可せず、工期が遅れる事態も予想される。政権は「いざとなれば行政代執行が必要かもしれない」(官邸スタッフ)とし、知事選の行方に神経をとがらせる。(星野典久、上地一姫)

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>沖縄が政府との対決色を強めた時期は過去にもあった。1998年2月、当時の大田昌秀知事が辺野古案を拒否すると、政府は沖縄振興の協議会を凍結させた。同年11月の知事選では、自民党は大田氏への対立候補を擁立。経済の先行きに不安が広がる中、「県政不況」というキャッチコピーを前面に押し出し、大田氏を破った。

翁長氏が掲げる「本土vs沖縄」の対決姿勢で、「大田不況」を余儀なく経験させられた過去の苦い経験を紹介するあたり、朝日にしては良心的過ぎると感じるのは筆者だけの気のせいなのか。

>政権は、仮に辺野古移設に反対する候補が当選しても、反対派が主張する埋め立て承認の撤回は、それまでの手続きに過失や問題がない限り、不可能とみる。

>それでも、政府が移設の途中でやむを得ない工法の変更などを県に申請した場合、知事が許可せず、工期が遅れる事態も予想される。政権は「いざとなれば行政代執行が必要かもしれない」(官邸スタッフ)とし、

結局朝日は、翁長氏が当選しても、多少工期が遅れる程度のマイナス面はあっても、最終的には代執行等で、辺野古移設をとめることは出来ない、と読んでいるのだろう。

 

>県内政局では、知事選で保守系の翁長氏を支援し、独自候補を擁立できなかった革新政党の党勢への影響が注目点だ。

純化路線を取る革新勢力内には翁長氏の擁立に批判的な意見がくすぶる一方、革新と保守・中道の液状化が進んでいる側面もあり、政界再編につながる可能性がある。

従来の朝日路線だったら、翁長氏の「オール沖縄」に亀裂が入ったのには目を閉ざし、保革を超えた一致団結で翁長氏が独走中などと、ヨタ記事を流していただろうに。

翁長氏に対する確信勢力からの批判は、9月13日の出馬表明記者会見以来、日に日にその激しさを増しており、以前から噂のあった「裏建白書」の存在で(裏契約発覚!建白書の嘘!)、翁長氏に騙されていたと知った共産党、社民党、社会大衆党などの今後の批判の噴出は「腹8分腹6分」などの曖昧な弁解では到底収集がが付かない事態に追い込まれるだろう。

「多弁だが空虚」の翁長氏の胡散臭さを目の当たりにし、流石の朝日も当初の「熱烈支援」から徐々に引いてきたというのが筆者の感想である。

沖縄タイムスも負けてはいない。

翁長氏についても「これまで辺野古移設を進めてきた人で、彼の『反対』には信頼を置けない」などと対立候補の意見を堂々と掲載。 依然として翁長支援の軸足ながらも、翁長氏への不信感否めないという論調である。