日本人として素直に有難い


 新聞各紙の報道によれば、4月18日、在日米海兵隊のオスプレイが被災地に派遣された。沖縄県の普天間飛行場に所属するオスプレイが米軍の岩国基地を経て、熊本県益城町に到着したのだ。米軍は、水、食料、毛布等を被災者に届けた。19日には、海上自衛隊のひゅうがに着艦し、水、食料、簡易トイレなどを搭載し、再び、これらの物資を被災地に届けた。

 日本人の一人として、素直に有難いことだと思った。

 中谷元防衛大臣も「効率的で迅速な活動を行うため、自衛隊の輸送力に加え、高い機動力と即応力を併せ持つオスプレイの活用が必要だ」と指摘し、「米側の力を利用できるのはありがたい。困っているときに支援してくれるのが本当の友だ」との感謝の言葉を述べた。

 多くの日本人が米軍の救援活動に対して、有難いと思ったはずだ。だが、米軍がオスプレイを被災地に派遣したことを批判している人々も存在している。
着陸態勢にはいる米軍の輸送機オスプレイ=4月14日午後、熊本県南阿蘇村(山田哲司撮影).jpg着陸態勢にはいる米軍の輸送機オスプレイ
=4月14日午後、熊本県南阿蘇村(山田哲司撮影)

 二人の言葉を紹介しよう。
 
 「(阿蘇山の)南阿蘇は小規模だが、噴火が続いている。(オスプレイは)ハワイの事故で、砂を吸い込んで落ちている。防衛省の資料を見ると、我が国の航空機がヘリコプターを含めたくさん活躍している。わざわざオスプレイをもってきて、避難している皆さんも非常に不安に思われている。砂を吸い込んで落ちるものが、噴煙に対して大丈夫なのだろうか。米軍の協力はありがたいが、ぜひやめてほしい。」(原口一博・民進党常任幹事会議長の発言2016年4月19日 朝日新聞)

 「オスプレイに対する国民の恐怖感をなくすために慣れてもらおうということで、こういう機会を利用しているとすれば、けしからんことだ」 (日本共産党小池晃書記局長の発言2016年4月19日 朝日新聞)

 原口氏の発言で疑問に思うのは、「オスプレイをもってきて、避難している皆さんも非常に不安に思われている」という部分だ。被災者の人々が本当にオスプレイに恐怖しているというのならば、当然、直ちにオスプレイの派遣を停止すべく要請すべきだ。救援活動が被災者を恐怖の底に落ち込ませているというような愚かな事態があってはならない。しかし、被災地の人々が不安に思っているのはオスプレイが来ることではなく、地震そのものであり、あるいは物資が不足してしまうことではないだろうか。

 また、こうした震災を通じて米軍がオスプレイを派遣したのは政治利用だという小池氏の指摘だが、こういう批判をし始めたら、自衛隊の派遣も政治利用だということになりかねない。確かに被災地に自衛隊が派遣され、数多くの人々を救出すれば、自衛隊に対する感謝の念から、自衛隊そのものの評価は高まるだろう。東日本大震災の被災者の一人から、「自衛隊の皆さんに本当に感謝していて、心の底から尊敬しています」という言葉を耳にしたことがあるが、当然のことだろう。こうした自衛隊の働きを政治利用と呼ぶことは出来ないだろう