今朝の沖縄タイムスにも「米軍流弾事件」は一行の記事もない。
社説やコラムは勿論、読者の投稿にも「米軍流弾事件」の記事は一件も見当たらなくなって久しい。
「疑惑の銃弾」は益々その疑惑の度合いを深めてきた。
「どんなことがあっても、真相を突き止めるよ」。今年初め、旧知の朝日新聞記者と会った。阪神支局襲撃事件に触れた瞬間、取材班に籍を置いていた彼の穏やかな表情に怒りが宿った
▼記者2人が銃撃され、死傷した事件から満22年を迎えた。週刊新潮が「実行犯」という男性の手記を誤りと認めてから2週間余。発行元の新潮社がようやく関係者を処分した
▼社長、前編集長ら全9役員が減棒となったが、言論の自由を暴力で押しつぶそうとした事件をもてあそび、遺族らを傷つけた大誤報のけじめとして、納得する人は少ないだろう
▼週刊新潮元副編集長の亀井淳さんは「処分は甘く、遅すぎる。世論の反発を様子見し、主体性もない。誤りの真相は何も分からない」と一刀両断にした
▼「ニセ実行犯に騙(だま)された」という検証記事で、前編集長は「週刊誌の使命は、真偽がはっきりしない段階にある『事象』や『疑惑』にまで踏み込んで報道すること」と書いた。検証を欠いても、語った事実のまま報じることを正当化する「裏付け取材不要論」とも読める。騙されたと開き直ったこの号は完売だった
▼今回の問題を「売らんかな」の商業主義の影響と指摘し、ジャーナリズム全体に警鐘を鳴らす市民や学者の声がある。きょうは憲法記念日。「足で稼ぐ記事」で言論の自由を守る決意を胸に刻みたい。
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「どんなことがあっても、真相を突き止めるよ」。
朝日新聞記者の言葉というが、いまだに「珊瑚記念日を語られる」朝日新聞にだけは言われたくない言葉だ。
またそれに感心する琉球新報記者だが、「不都合な事実は弾圧する」琉球新報にも言われたくない言葉でもある。
琉球新報は、沖縄タイムスとタッグを組んで一昨年の「11万人」集会、昨年の「米兵女子中学生事件」、「比女性暴行事件」などの歪曲記事を書き連ねている。
昨年の12月から今年の4月に至る四ヶ月の間は金武町伊芸区で起きた「米軍流弾事件」で、抗議の大キャンペーンを張っていたのは琉球新報、沖縄タイムスのタッグチームではなかったのか。
琉球新報の記事だけでもこの通り。
3月31日の米軍側に「米軍には関係ない」と断定されて以来、先月中旬以来、突然の沈黙はこれまでの2紙の激しい論調からいって不可解ではないか。
琉球新報の「米軍流弾事件」に関する最後の記事はこれ。
伊芸被弾、第三者の「破壊」と指摘 2009年4月11日
3月31日に発表された金武町伊芸被弾事件に対する米軍の最終報告で、米軍はレンジ内から発射された弾が駐車場の車両に突き刺さった証拠は一切ないとした上で、「道路上の危険」や第三者による「故意による破壊」といったほかの可能性を指摘していることが10日、分かった。「50口径弾は沖縄本島のほぼ全域で土中から発見されるもの」との記述もあり、米軍以外の第三者がどこからか弾を入手し、犯行に及んだ可能性があるとの見方を強く示している。米軍から県警に提出された最終報告文書で明らかになった。
石川署の初動捜査報告書を基にした事実として、被害者は11日正午ごろに駐車場に駐車し、同日午後4時ごろ女性が「バン」という音と白煙を確認したことを記述しているが、併せて「(女性)以外の目撃者が存在しない」と証言の信憑(しんぴょう)性を疑う記述もある。県警は「音」と「白煙」の確認は10日だったとしており、大きく食い違っている。
9、10日にレンジ7で実施された射撃は、7トントラックの砲塔に搭載されたM2重機関銃を使い、縦、横方向とも固定された位置で使用したことを強調。
レンジ7の安全対策では、50口径弾が「跳弾」した上で訓練場内から伊芸区に飛び出す確率は極めて低い、としている。結論として、問題の弾芯は「訓練場内で行われたどんな武器訓練とも関係がない」と断定している。
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沖縄タイムスの最後の記事はこれ。
沖縄タイムス 2009年04月14日 社会
県警の指摘検証/伊芸区流弾 発生日のずれで米軍
金武町伊芸区の流弾事件の発生日の特定が県警と米海兵隊で異なっている件で、県警が認識の違いを指摘したことに対し、在沖米海兵隊報道部は13日、沖縄タイムスに対し、「現在、県警から受け取った最新の書簡を検証しており、現段階で今月1日に発表した以上公開できる情報は持ち合わせていない」と回答した。
県警は事件は昨年12月10日に発生したとして捜査を進めている。だが、米海兵隊は石川署から12月19日に受け取った報告書を基に事件発生は12月11日とし「11~13日は実弾射撃演習は行われていない」などとして、事件と訓練の関連を否定している。
県警は米側に発生日は10日と再三通報したと説明しており、今月9日、あらためて発生日のずれなどを指摘する書簡を送っていた。
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米軍の最終回答によると、「疑惑の銃弾」は第三者の何ものかが工作して米軍の事件に見せかけたのだと断定している。
冒頭のコラムで「ニセ実行犯に騙(だま)された」と書いているが、これはひょっとして「米軍流弾事件」にも当てはまるのではないか。
更に米軍回答書は、ただ一人の目撃者がウソをついているともほのめかしている。
県警の聞き取捜査による事件特定日と、米軍側がいう日が異なるのは、県警の捜査がずさんであったと、暗に指摘した米軍の回答だ。
これに疑問を持つなら、冒頭のコラムで言う「足で稼ぐ記事」でも書いて米軍の鼻を明かしてみてはどうか。
米軍の捜査に対し「泥棒に泥棒の捜査を頼むようなもの」と激しく批判していた沖縄マスコミではなかったか。
それが突然おとなしくなったというのはのは米軍の結論を認めたということか。
そうならそうと、新聞は真相を読者に伝える義務があるのではないか。
米軍の結論を認めるのなら、民家に侵入して乗用車のナンバープレイトに銃弾の細工をした人物は刑事罰に相当するのではないか。
沖縄選出の国会議員が沖縄県警に告発したのはどうなっているのか。
冒頭に引用した朝日記者の言葉を琉球新報と沖縄タイムスにそっくり返したい。
「どんなことがあっても、真相を突き止めるよ」。