治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

花風社かるた 「こ」(辞めた鳥取の看護師さんたちを応援しようの巻)

2015-06-11 09:03:57 | 日記




花風社かるた編纂室からのお知らせです。

花風社かるた 「こ」は

誤学習 ほっておくのは 死んだふり
社会の迷惑 本人の不幸


です。

折しもどっか西の方の養護学校で、看護師さんが一斉に辞職したという報道がありました。

それを見て私たちは

「あるある」

と思っていたのですが

同じニュースを見てギョーカイ筋では

「ありえない!」という反応のようで
なかなかの距離感だな、と思います。

杉山先生はご著書「発達障害のいま」の中で、障害児の親に難しい一群がいるという従来アンタッチャブルだった問題に触れ、無理難題をふっかける保護者には訴訟をも辞さない態度が大事、と書いていらっしゃいました。かつては「偽アスペルガー論争」で迷惑かけられた身としては、なかなかフェアになったもんだな、と感心したもんです(上から目線)。



もちろんこういった現場の苦労を味わっている人も私の仲間にはいますので、その上での「あるある」「よく報道してくれました」なのですが

私はあの問題をこの際、モンペ方向ではなく純粋に労働問題として考えたいと思います。

人員の配置が足りなかった。

ありえますね。売り手市場のお仕事ですもんね。働き手は職場を選ぶでしょう。そして無理難題をふっかける顧客の多い職場は人材確保に苦労するかも。

(あれれ、モンペ方向に行ってしまいそう・・・・・・)

っていうよりどうも福祉の世界は(教育の世界の一部もそうだけど)

障害があったり、障害がある人の家族の誤学習は放置する傾向がありますね。

どういう誤学習かというと、先日からあげているように

ニキさんが「自閉っ子のための努力と手抜き入門」P207後ろから五行目で言及しているタイプの誤学習です。

この誤学習を支援者教育者が放置するもんで

結果として、障害のある人、障害のある人の保護者を助けるために働く人たちの人格否定につながるような行動を、雇用側がとることがあります。それだったんじゃないかなあ。そしてそれは、人員不足方面だけじゃないような気がします。

だいたいさー、いくら予算確保しても、モンペと死んだふり現場に尊厳削られるような職場は私ならいやですね。人なんか集まるんでしょうかね。

作業所でもね、同じ利用者でも「よりごねたもん」の味方をする支援者が多い、なんていうのはよく聞く話だし

そもそも利用者がセクハラしようと暴力振るおうと「治らないんだから我慢しろ」と雇用者が被雇用者である支援者を我慢させている話もよく聞きますね。

その場を丸く収めるためなんだろうけど

まあ私から見ると

「卑怯者」

の一言なんです。


サービス残業や長時間労働がブラックなら

利用者や生徒、その親が教師や支援職に及ぼす人格否定をほっとくのもブラックじゃないですか。

なのに前者のブラックについては口を極めてののしる人たちが後者のブラックは死んだふりなんだよなあ。

誤学習は正さなくてはいけない。
とくにASD脳の人には「その場で」正すことが大事なはず。TEACCHだのなんだのの研修を受けてきた人には周知の事実じゃないの?

なのになんでそれをやんないんだろ。

なんで誤学習をほっとくんだろ。

誤学習をたっぷり貯めこんだ当事者保護者を受け入れろと言われても

受け入れなくて済むのなら受け入れませんよ。
それが世間です。

去って行った看護師さんたちは、自分の人権を守っただけの話。
そして私の場合
威圧的な親より死んだふりした学校現場に腹が立ちます。

そして虐待案件を見てもいじめ案件を見てもわかるでしょう。

「被害者であるにもかかわらず被害者と認めてもらえなかった」ことがもたらす心の傷は大きいのです。

私のギョーカイトラウマもそうですよ。

先日、これから療育サービスに乗り出すことを考えている企業の方とお話しました。

措置時代から福祉にどっぷりつかっている方々は、事業費が降りるようになって参入してくる株式会社等に対し「株式会社ガー」をおやりになりますが



福祉の外から来ている会社の方が、従業員を人間扱いしていることに気づきましたよ。