TPP(環太平洋連携協定)へ我が国が参加するか否かで、にわかに騒々しくなっている。菅直人首相(当時)が2010年10月に開かれた「新成長戦略実現会議」で、参加に意欲を示した。しかし、3月11日の東日本大震災で、それどころではなく、今まで地下に潜っていたが、ここへきてまた浮上、大きな議論を巻き起こしている。
そのきっかけは、野田佳彦首相が、日米首脳会談の際、オバマ大統領に強く参加を要請されたことからだ。
しかし、TPPへの参加については、与野党問わず、賛成派と反対派に議論は真っ二つに分かれている。
また、経済界は概ね賛成、農漁業団体は反対、労働団体は政界同様、賛否両論の様相だ。それでは、国民は如何かと言うと、TPPとは何ぞやから、メリット、デメリットが大雑把しか分からず、戸惑っているのが本当だろう。
TPPは、2006年にAPEC(アジア太平洋経済協力)参加国であるニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4ヵ国が発効させた。中味は、貿易自由化を目指す経済的枠組みで、工業製品や農産品、金融サービスなどをはじめとする、加盟国間で取引される全品目について関税を原則的に100%撤廃しようというものである。2015年を目途に関税全廃を実現するべく協議が行われている。
その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5ヵ国がTPPへ参加、現在参加は9カ国となっているが、コロンビアやカナダも参加の意向を表明している。
日本は、新成長戦略実現会議で参加検討を表明した後、2010年11月9日の閣議決定ではTPPへの参加は決定されなかったものの、「関係国との協議を開始する」との決定はなされた。
しかし、TPPが例外なく関税を撤廃する協定であることから、コメをはじめ国内の農業・漁業は壊滅的な打撃を受けるとして、農漁業団体を中心に猛烈に反対、先行きどうなるのか、今のところ検討がつかない。
アメリカから強く参加要請をされているところに、うさんくささを感じるが、政府は、もっとTPPについて国民に説明し、国民の意向を尊重する姿勢を示さなければならない。