ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、怪奇大作戦は
私にとっては一種の映像原体験であり、なにものにも代えがたい
頑固な思い入れ&ある種の強固なイメージがある作品群です。
全部を見たわけではないので、言いきることはできないのですが
『ウルトラQ ~dark fantacy~』 は、実相寺作品含めて、
「ウルトラQ」を冠するには、テイストが私にはライトすぎて、
趣味が合いませんでした。
なので、怪奇大作戦のセカンドファイルの話を聞いた時、
上記を思い出して、全然期待していなかった、というのが正直なところでした。
で。
1時間枠と延長されたにも関わらず、作品の質は非常に高かった。
とても満足できる出来だったと思います。
当然ながら、25分に凝縮されていた昭和版・怪奇大作戦と同じ、
というわけにはいきませんが(時代も大幅に違いますし、映像技術も違います)
平成版として怪奇大作戦を名乗っても合格点かな、と。
メンバーが旧作と同じ名前であること、音楽が継承されたことの
効果も大きいと思います。特に音楽は想像以上に影響大かも。
で、役者のタイプは旧作とかなり異なりますが
西島・牧、田中・三沢 岸部・的矢、寺田・町田、よかったと思います。
西島秀俊さんって、私の中では『キャシャーン』の「茶番だな」が
圧倒的なインパクトなんですが、今回、また別の魅力を見せてもらえて嬉しい。
ポーカーフェイス(西島氏自体、あまり表情ない系?)で、
でもふとしたところで、強い意思とこだわりがでる平成の牧は、
なかなかいいんじゃないでしょうか?
で、個人的にはやはり実相寺監督が脚本参加された
ファイル2「昭和幻燈小路」が好きです。
見ていて感じたテイストとしては「京都買います」×「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」 × 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 」 × 「異人たちとの夏」。あとちょっとだけ攻殻機動隊の第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」も入ってるかな?まぁ私の大好物ばかりのミックスですので、嫌いなはずがない、というか。
実相寺さんは『ユメ十夜』の「第1夜」も担当されてますが、映像的には近いものを感じました。というか、彼はずっとこの独特の“過去のパラレル日本”テイストを追求していたとも言えるんだけど。
ストーリーはシンプルで、あるエリアだけが過去と入れ替わってしまい、住民とともにSRIのメンバー3人がそこに閉じこめられる、というもの。見どころはやはり過去の街に乗っ取られて入れ替わっていく街並みでしょうか。ビルや駐車場などが次々と、かつてそこにあったのだろう古い建物に戻っていく(?)のが、視覚的に面白い。
路面電車(の音)がとても効果的に使われています。過去に誘う異次元ゲートという感じ。牧と三沢はなつかしむけど、若い野村だけは感傷がないのも対比としていい感じ。
結局、娘を亡くした老人の死ぬ間際の強い思念が生みだした異次元空間だったのですが、牧だけは自分の亡き父に逢うという形で、自分の思念を具現化してしまいます。
事件が解決したあと、そこが牧自身にも謎のままとなります。
また、牧だけが少女と出会う。それは老人が落とした少女のピン留めを、牧が持っていたからかもしれないのと同時に、立場は違っても、子ども時代に親と生き別れたもの同士の共鳴があったのかな、と思いました。
映写機に映る少女の笑顔が悲しいです。それをずっとずっと死ぬ間際まで見続けていたのであろう老人の思いもまた悲しいです。
どうも昭和にやられてる、怪奇大作戦の再放送もそのものな気もしつつ。
私もまた、自分の中の映写室で、過去映像をずっとカタカタと回し続けてるのかもしれないな、と思いました。
現実は現実で、瞬時に、日々に過去にすり替わっていくけれど、歳を重ねると、巻き取った過去の方が力を持ちはじめるのかもしれない。
ちょっとだけ、気をつけなくちゃ、と今、この記事を書きつつ思いました。
(あれ?自分でも意外な展開かもw)
あとの2作もとてもよかったです。
またぼちぼちと感想アップしたいかな、と。
できれば完全に過去になるまえに。
怪奇大作戦セカンドファイル
シリーズ構成: 実相寺昭雄
音楽:冬木透、TAK-MI
出演者
●牧史郎:西島秀俊
●三沢京介:田中直樹(ココリコ)
●野村洋:青山草太
●小川さおり:美波
●的矢忠:岸部一徳
●町田大蔵:寺田農
●ファイル1「ゼウスの銃爪」
白昼の商店街、携帯電話で通話中の女性が謎の焼死を遂げる。
しかし不思議なことに、被害者の衣服や所持品はすべて焼け残っていた。
調査に乗り出したSRIをあざ笑うかのように、やがて起こる第2の殺人事件。
その背後には地球規模のトリックが潜んでいた・・・
脚本:中野貴雄
演出:清水崇
Vシネマから始まった「呪怨」シリーズ(1999~)が国内外でヒット。2004年の ハリウッド版は、興行収入1億ドルを突破
昨年の続編も全米1位を記録(日本では7月公開)。他にベルギーでグランプリを受 賞した「稀人」やホラーコメディドラマ「怪奇大家族」など
●ファイル2「昭和幻燈小路」
東京下町で原因不明の電波障害が発生、住民157名が行方不明になる。 事件を追うSRIの牧たちは、過去と現在が渾然一体となった不思議な空間に迷い込む。 やがてSRIは過去のビジョンを視覚化する謎の波長をとらえ、発信源である古い写真館へ向かう・・・。
脚本:実相寺昭雄・玉城悟
演出:北浦嗣巳
映画「帝都物語」(1988年)「悪徳の栄え」(1988年)などの実相寺作品で助監督を務めた。TV「西遊記」(1994年)「平成ウルトラマンシリーズ」(1996~2006年)「生物彗星WoO」(2006年)などの特撮シリーズを演出、映画版の監督も手掛ける。
●ファイル3「人喰い樹」
東京近郊の温泉に来ていたSRIのさおりは、連れ立って出かけた女友達の変死事件に巻き込まれる。 その遺体からは赤血球が残らず消失し、血管は植物の根状に変異していた。 SRIは、人間の体内に侵入し自己増殖する新種の殺人花粉の存在を突き止めるが・・・。
脚本:小林雄次
演出:中田秀夫
1995年の映画「女優霊」で注目され、「リング」(1998年)の爆発的ヒットによりJホラーブームを生み出す。「リング」「仄暗い水の底から」(2002年)などの作品はハリウッドでリメイクされた。2007年には大作「怪談」が控えている。
※2007年、スピンオフLの監督決定
参考:
怪奇大作戦 セカンドファイル(wiki)
怪奇大作戦(セカンドファイル) 新作予告
私にとっては一種の映像原体験であり、なにものにも代えがたい
頑固な思い入れ&ある種の強固なイメージがある作品群です。
全部を見たわけではないので、言いきることはできないのですが
『ウルトラQ ~dark fantacy~』 は、実相寺作品含めて、
「ウルトラQ」を冠するには、テイストが私にはライトすぎて、
趣味が合いませんでした。
なので、怪奇大作戦のセカンドファイルの話を聞いた時、
上記を思い出して、全然期待していなかった、というのが正直なところでした。
で。
1時間枠と延長されたにも関わらず、作品の質は非常に高かった。
とても満足できる出来だったと思います。
当然ながら、25分に凝縮されていた昭和版・怪奇大作戦と同じ、
というわけにはいきませんが(時代も大幅に違いますし、映像技術も違います)
平成版として怪奇大作戦を名乗っても合格点かな、と。
メンバーが旧作と同じ名前であること、音楽が継承されたことの
効果も大きいと思います。特に音楽は想像以上に影響大かも。
で、役者のタイプは旧作とかなり異なりますが
西島・牧、田中・三沢 岸部・的矢、寺田・町田、よかったと思います。
西島秀俊さんって、私の中では『キャシャーン』の「茶番だな」が
圧倒的なインパクトなんですが、今回、また別の魅力を見せてもらえて嬉しい。
ポーカーフェイス(西島氏自体、あまり表情ない系?)で、
でもふとしたところで、強い意思とこだわりがでる平成の牧は、
なかなかいいんじゃないでしょうか?
で、個人的にはやはり実相寺監督が脚本参加された
ファイル2「昭和幻燈小路」が好きです。
見ていて感じたテイストとしては「京都買います」×「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」 × 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 」 × 「異人たちとの夏」。あとちょっとだけ攻殻機動隊の第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」も入ってるかな?まぁ私の大好物ばかりのミックスですので、嫌いなはずがない、というか。
実相寺さんは『ユメ十夜』の「第1夜」も担当されてますが、映像的には近いものを感じました。というか、彼はずっとこの独特の“過去のパラレル日本”テイストを追求していたとも言えるんだけど。
ストーリーはシンプルで、あるエリアだけが過去と入れ替わってしまい、住民とともにSRIのメンバー3人がそこに閉じこめられる、というもの。見どころはやはり過去の街に乗っ取られて入れ替わっていく街並みでしょうか。ビルや駐車場などが次々と、かつてそこにあったのだろう古い建物に戻っていく(?)のが、視覚的に面白い。
路面電車(の音)がとても効果的に使われています。過去に誘う異次元ゲートという感じ。牧と三沢はなつかしむけど、若い野村だけは感傷がないのも対比としていい感じ。
結局、娘を亡くした老人の死ぬ間際の強い思念が生みだした異次元空間だったのですが、牧だけは自分の亡き父に逢うという形で、自分の思念を具現化してしまいます。
事件が解決したあと、そこが牧自身にも謎のままとなります。
また、牧だけが少女と出会う。それは老人が落とした少女のピン留めを、牧が持っていたからかもしれないのと同時に、立場は違っても、子ども時代に親と生き別れたもの同士の共鳴があったのかな、と思いました。
映写機に映る少女の笑顔が悲しいです。それをずっとずっと死ぬ間際まで見続けていたのであろう老人の思いもまた悲しいです。
どうも昭和にやられてる、怪奇大作戦の再放送もそのものな気もしつつ。
私もまた、自分の中の映写室で、過去映像をずっとカタカタと回し続けてるのかもしれないな、と思いました。
現実は現実で、瞬時に、日々に過去にすり替わっていくけれど、歳を重ねると、巻き取った過去の方が力を持ちはじめるのかもしれない。
ちょっとだけ、気をつけなくちゃ、と今、この記事を書きつつ思いました。
(あれ?自分でも意外な展開かもw)
あとの2作もとてもよかったです。
またぼちぼちと感想アップしたいかな、と。
できれば完全に過去になるまえに。
怪奇大作戦セカンドファイル
シリーズ構成: 実相寺昭雄
音楽:冬木透、TAK-MI
出演者
●牧史郎:西島秀俊
●三沢京介:田中直樹(ココリコ)
●野村洋:青山草太
●小川さおり:美波
●的矢忠:岸部一徳
●町田大蔵:寺田農
●ファイル1「ゼウスの銃爪」
白昼の商店街、携帯電話で通話中の女性が謎の焼死を遂げる。
しかし不思議なことに、被害者の衣服や所持品はすべて焼け残っていた。
調査に乗り出したSRIをあざ笑うかのように、やがて起こる第2の殺人事件。
その背後には地球規模のトリックが潜んでいた・・・
脚本:中野貴雄
演出:清水崇
Vシネマから始まった「呪怨」シリーズ(1999~)が国内外でヒット。2004年の ハリウッド版は、興行収入1億ドルを突破
昨年の続編も全米1位を記録(日本では7月公開)。他にベルギーでグランプリを受 賞した「稀人」やホラーコメディドラマ「怪奇大家族」など
●ファイル2「昭和幻燈小路」
東京下町で原因不明の電波障害が発生、住民157名が行方不明になる。 事件を追うSRIの牧たちは、過去と現在が渾然一体となった不思議な空間に迷い込む。 やがてSRIは過去のビジョンを視覚化する謎の波長をとらえ、発信源である古い写真館へ向かう・・・。
脚本:実相寺昭雄・玉城悟
演出:北浦嗣巳
映画「帝都物語」(1988年)「悪徳の栄え」(1988年)などの実相寺作品で助監督を務めた。TV「西遊記」(1994年)「平成ウルトラマンシリーズ」(1996~2006年)「生物彗星WoO」(2006年)などの特撮シリーズを演出、映画版の監督も手掛ける。
●ファイル3「人喰い樹」
東京近郊の温泉に来ていたSRIのさおりは、連れ立って出かけた女友達の変死事件に巻き込まれる。 その遺体からは赤血球が残らず消失し、血管は植物の根状に変異していた。 SRIは、人間の体内に侵入し自己増殖する新種の殺人花粉の存在を突き止めるが・・・。
脚本:小林雄次
演出:中田秀夫
1995年の映画「女優霊」で注目され、「リング」(1998年)の爆発的ヒットによりJホラーブームを生み出す。「リング」「仄暗い水の底から」(2002年)などの作品はハリウッドでリメイクされた。2007年には大作「怪談」が控えている。
※2007年、スピンオフLの監督決定
参考:
怪奇大作戦 セカンドファイル(wiki)
怪奇大作戦(セカンドファイル) 新作予告