動物村にたくさんの雪が積もったある日、3人組は雪ダルマ作りのために集まりました。
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ポン吉:みんな、雪ダルマ用の小道具を持ってきたかい?僕は丸い石と帽子を持ってき
た。
コン太:僕は鼻に使えそうな短い白樺の枝と杖用の木を持ってきたぞ。
ミミ :私はニンジンとおしゃれなマフラーを持ってきたわ。
ポン吉:よ~し、これから始めるぞ。まずは小さな雪の玉を作って、それを転がしてどん
どん大きくするんだ。よ~い、スタート!
ミミ :私も一緒に転がすね。ヨイショ、ヨイショ。
コン太:お~い、手を止めてこっちへ来てくれよ。こんなところに雪のかたまりがあ
るぞ。僕たちより先に誰かが雪ダルマを作りかけたみたいだな。
ポン吉:本当だ!まだ雪ダルマとは言えない形だし、目も鼻も口もついてないね。
コン太:ちょうどいいじゃないか。そんなに大きくないけどみんなで形を整えて、
これに顔や手を付けようよ。
ミミ :賛成、雪の玉を転がしてたら手が冷たくて、しびれてきたところだったの。
これを使って私たちの雪ダルマに仕上げましょうよ。
ポン吉:手間が省けるね。よし、雪ダルマらしくなったぞ。僕が持ってきた石は目に
するよ。
ミミ :ニンジンは口にしようかな。
コン太:白樺の木はやっぱり鼻にぴったりだよ。少し押し込んでしっかりと付けようね。
水の精:イテテッ!
コン太:エッ?今、雪ダルマが「イテテッ!」って言わなかった?
ポン吉:うん、言った。
ミミ :私も聞いた。
ポン吉:雪ダルマの中に誰かが入っているのかな?
コン太:もう一度、白樺の木を押し込んでみようか?ヨイショ。
水の精:痛いよ、ヤメテクレ~!僕の周りの雪を早くどけて助けてくれよ、お願いだ!
ミミ :やっぱり、中に誰か居るわ。せっかくの雪ダルマを壊すのは嫌だけど、
どうする?
ポン吉:「助けて!」って言ってるんだから、急いで雪をどけようよ。
コン太:そうだよ。みんなでやろう。それっ、ヨイショ、ヨイショ。
水の精:フ~ッ、苦しかった。ありがとう、助かったよ。
ミミ :あなたはだ~れ?どうして雪ダルマになっちゃってたの?
水の精:僕は水の精。名前はレイニー。仲間たちと一緒に雲に乗って上空を飛んで
いた時に、ちょっとふざけて逆立ちをしたんだよ。そしたら、よろけて
落っこちてしまったんだ。積もった雪に足をとられて動けなくなってたら、
上からどんどん雪が降ってきて、とうとう埋もれてしまったんだよ。
さっきまで気を失ってたみたいだから、君たちが来なかったら一体どうなっ
ていたんだろう。考えただけでゾッとするな。
助けてくれて本当にありがとう。
ミミ :水の精ですって?夢を見ているみたい。信じられないわ。
水の精:驚かせてごめんね。ゆっくりと話していたいけど、すぐに仲間を追いかけ
なければいけないんだ。春になったら必ず君たちのところに戻ってくるよ。
この帽子とマフラーはそれまで借りておくね。
帽子をかぶって、これに乗れば早く追いつくんだ。
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そう言うと、水の精・レイニーはミミのマフラーを地面に広げて、コン太が持ってきた
杖用の木をマフラーに向け、何やら呪文らしきものを唱えました。するとマフラーは大
きく広がり、帽子をかぶったレイニーが飛び乗った途端に、フワリと空中に浮き上がり
ました。
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水の精:さようなら。春になったら必ず君たちのところに戻ってくるからね。その時に
は、お礼がわりにこの帽子とマフラーを素敵な物に変身させて返すよ。
じゃあね。
ミミ :もう行っちゃうの。もっといっぱいお話したいのにな。
ポン吉:水の精がマフラーに乗って空を飛ぶなんて、誰も信じないだろうね。
コン太:さようなら、さようなら。あ~、行っちゃった。
ミミ :夢を見たんじゃないよね
ポン吉:僕たち、おもしろいものと良く出会うけど、長老はまた信じてくれないだろう
な。3人組だけの秘密がまた増えたよ。
コン太:春になったらどんな形で会えるのかな~。楽しみだね。
全員 :♪ 春よ来い 早く来い
あるきはじめたみいちゃんが、赤い鼻緒のじょじょはいて
おんもへ出たいと待っている ♪
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素敵な冬の思い出を胸に、3人組は春の訪れを待ち望むことになりました。
さて、水の精・レイニーは帽子とマフラーをどんな素敵な物に変身させてくれるの
でしょうか?
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