ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

大地の恵み、「秋の収穫」風景

2020-11-16 07:46:16 | 日記

秋を感じるのは紅葉や気温の変化だけではありません。田舎に住んでいますと、田んぼや

畑から成熟した農作物の収穫作業の現場に出会うことがあり、これも秋を実感させてくれ

ます。人の手で育てた大地からの恵みですからね。この人間臭さを感じる季節感は秋だけです。

 

茨城県の耕地面積の割合は約30%で長年全国1位です。この恵まれた環境の中で,収穫量日

本一の農産物はメロン,くり,れんこん,ちんげんさい,秋冬はくさい,夏秋なす,夏秋ピーマンな

ど実に多様です。私の住む龍ケ崎市内でも多種多様な農作物が栽培されていますが、今回

は広大な面積を必要とし、かつ、日常の散歩の範囲内で出会う大地の恵みを紹介します。

 

1.お米の収穫

 茨城県はコシヒカリの生産量が18年連続で全国2位の実績を誇る有数の産地です。初秋

の9月に入ると、広い田んぼで稲刈りをする大型のコンバインが動いている姿を見ます。

そしてコンバインの周りには必ずシラサギ、アオサギ、カラスなどが集まってきます。栽

培されている米は「特別栽培米のコシヒカリ」です。農薬や化学肥料を茨城県の慣行栽培

に比べて、半分以下に低減したお米で良質米として高く評価されています。市内の小中学

校の学校給食にも使用されています。田んぼには、とんぼやどじょう、カエル、メダカも

たくさんいます。今年はタニシも見ました。

<一口メモ>

稲はもともと熱帯の作物で、日本の土壌はお米を育てるのに向いていたわけではありません。

しかし、「田んぼに水を溜める」という大発明によって、お米を安定的に栽培できるよう

になりました。具体的には①河川から引き入れた水に養分が含まれている。②過剰な成分

を流し出す。③塩分をはじめとして、作物の生育に有害な成分を流し出す。④土壌が酸欠

状態になり、作物の生育に有害な微生物や線虫などの生物が死滅する。⑤水の中に含まれ

ている空気から、雑草などが窒素ガスを体内にとりこみ、さまざまな化学作用を通じて窒素

を田んぼの土に残す。田んぼで連作障害が起こらない理由は、「水を張っているから」です。

 

2.長ネギの収穫

  広い面積で露地物の長ネギ栽培をしている畑が3ヶ所あります。100mぐらいのうねが

ずらりと並んでいて壮観です。内、2ヶ所は夏の長ネギで8月中旬からの1ヶ月間、ここで収

穫作業が行われていました。長ネギの収穫は安定需要を背景に機械化が進んでおり、広い畑

に作業をする人手はたった4人でした。もう1ヶ所は秋冬の長ネギで11月中旬に収穫されまし

た。目の前を自動で長ネギを抜き取っていく自走式ねぎ収穫機に乗って働く外国人研修生の

姿を見ながら、ここが露地長ネギ耕作日本一の現場なのだと認識を新たにしました。

  (参照)「長ネギ農家の収穫作業」本ブログ 2020年9月21日 発行

<一口メモ>

 長ネギの収穫高を見ると、生産量1位が千葉県で6.6万トン。2位は埼玉県で6.4万トン、3位は

茨城県で4.8万トン、このように関東3県で上位を占有しています。この内、千葉県・埼玉県は

11月中旬ごろに収穫する秋冬のねぎの産地で、茨城県は8月中旬ごろに収穫する夏のねぎの産

地です。私の散歩道では両方の畑を見ることができます。長ネギの白い部分にはビタミンCが、

地上部の緑色の部分には、カロテン、ビタミンC、ミネラル等が含まれています。

 

3.落花生の収穫

落花生栽培に特化した農機具は少なく、他の作物用と比べて高額だといいます。ですからこの

地方では人海戦術での作業です。手作業で種一粒ずつを蒔いて、収穫時も手で株ごと引き抜い

て収穫し、株ごと円筒形に野積みして乾燥させます。この状態は「ぼっち」と呼ばれ、落花生

の産地の風物詩です。脱穀後、じっくりと天日干しをします。2週間を掛けて水分を飛ばし、

甘みを最大限に引き出します。手作業が多く、連作ができないなど、落花生は手間がかかる作

物なのです。

 <一口メモ>

国内流通量の約90%を輸入品が占め、いまや国産品は希少な存在となりつつある落花生。国内

産地では千葉県が一番ですが、二番の茨城県では最初に栽培を始めたのが隣の牛久市です。そ

の中でも栽培が多いのは女化(おなばけ)地域。明治時代は荒地で大砲発射の練習に使われるだけ

だった土地に、千葉県の八街市から落花生の種を分けてもらい植え始めたとのこと。かつては、

この一帯の農家はほとんどが落花生を栽培していたそうです。こうした背景があって今でも落

花生の栽培は盛んです。

 

4.常陸秋そば

  11月に入ってからコンバインを使って収穫作業をします。ソバは、ほ場内でも成熟がバラ

つき、収穫期の判断が難しい作物です。収穫は晴天の日中に行われます。成熟期頃は茎水分が

高く残葉も多いので、茎葉がつまらないよう刈取速度を抑え、低速・低回転で丁寧に行われま

す。収穫したソバはむれ易いので早く乾燥作業に入ります。ソバの花(実はガク片)は白いで

すがソバの実は茶黒色です。

  (参考)「一面真っ白なソバ畑の中に、一輪の真っ赤なバレーシューズ」本ブログ

        2020年10月19日 発行

<一口メモ>

  ソバの生産量は断トツの1位が北海道。大きく離されて2位が茨城県です。ここでは常陸

秋そばが中心に栽培されています。特徴は実が大きく、粒揃いが良く、食した時の芳醇な香

りやほんのり甘さを感じる豊かな味わいにあります。ソバの花にはおしべよりめしべの方が

長い「長花柱花」とおしべよりめしべの方が短い「短花柱花」の2種類が半々で存在していま

す。同じ型の花同士では受粉せず、交雑してはじめて受精します。このため、そばの受粉率

は花の2割以下とかなり低いです。更に受粉するには昆虫の手助けが必要ですから環境整備も

大切なのです。ソバは荒れ地でも育つと言われていますが、農作物として取り組むには結構

厄介な作物なのです。

 

今回は栽培に広大な土地を必要とする作物4種を取り上げました。この内、畑の作物である

長ネギ、落花生、ソバは連作障害を避けるため、同じ場所で続けて栽培されることはありま

せん。散歩していると毎年畑の景色が変わりますがこのためだったのですね。

 

 

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