鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

雨の町

2006-12-15 11:43:24 | 映画(ホラー)

「雨の町」 2006年
監督:田中誠
出演:和田聰宏、真木よう子、成海璃子、武重勉、光石研、安田顕ほか

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原作は菊地秀行。
というか、タイトルとあらすじだけ見たとき、伊藤潤二のマンガにも、雨の日に死者が帰って来て扉を叩くって話あったよなー、アレの映画化かなーと思ったんですが、見たら全く違いました(汗)
っていうか、雨…殆ど降ってないし。むしろ内容はSFに近いですかね。

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ある町で、内臓の無い少年の死体が見つかった。
記事にするため、その少年の身元を追ってその町へやってきたルポライターの兼石荘太は、うら寂れた山村と、そこで35年前に起こった子供たちの失踪事件に行き当たる。
『おうちに、帰りたい』
そう訴える子供たちと、それを決して受け入れない家族。そして、子供たちを殺すために追う男。
35年間変わらぬ姿で、通り雨とともに帰って来る子供たちの正体はなんなのか。

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主人公のルポライター、どっかで見たことあるわーと思ってたら、
ちょっと前に見た「県庁の星」に出てた厨房のオニイちゃんだった。

子供たちに何が起きたか、とか、帰って来るのは誰なのか、とか、
殆どの部分が、謎のまま残されているけれど、これはこれでイイ感じ。
アメリカの昔の映画だと『実は宇宙人の襲撃でした!』
なんてオチがついて、物事はっきりしすぎてなんだか興醒めだったりするし。
物語の中に、いてもいなくてもいいような普通の女性がいて、それと対比するように、せつない系の異形の女の子が出てくる感じ、確かに原作は菊地秀行かなぁ、と。

それにしても、帰ってきた子供の中で、一人だけ特別感のある女の子。
年齢のせいもあるかもしれないけど、他の二人の男の子はもう全然人間じゃないのに、この子だけちょっと違うんだよね。
男の子二人が、もう全然情も何も無く親を殺しちゃうのに比べ、女の子は、あからさまな敵意を見せられても主人公を殺さない。
(いささか動物じみた懐き方ではあったけどね)
そのへんの、ちょっとワビサビな感じとか、ああジャパホラーだなって。

『私、全部見せちゃいまーす!』って理由動機内臓血液脳髄丸見えな洋モノと違って、何もかもは教えない見せない続きは妄想してね!ってチラリズム的なところがそそるっすよ。
あ、でも、見せ加減ってのもやっぱり重要でー。見せなさすぎるとつまんないっす。
先日、『輪廻』のバッタもん臭い印象の『転生』を見ましたが、これがそういう感じの作品でした。
背後関係とかの伏線が足りなさ過ぎて、想像ですら補えない…。
粗筋見る限りでは、扱いによっちゃ感動系ホラーにもなりそうな、良さげな設定だったのにな。

菊地さんの本って、昔はちょっと読んだけど…最近全然読みません。
「D」シリーズは好きなんだけど。夢枕獏さんと並んで、文章がどうも読みづらくてね。
どちらかというと、初期作品のほうが好き…。
(挿絵描いてた天野喜孝さんも、今のカラフルなやつよりD初期の絵のほうが好きだな…)



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