鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

Dr.ホワイトの偉大なる実験

2017-07-05 00:00:44 | フリーゲーム(ホラー)
Dr.ホワイトの偉大なる実験
アツマール・プレイヤーのSAN値が削られるゲーム
製作者:あたりめ様

==============

主人公は、最愛の娘・ユミエをさらわれたご両親(男女選択あり)
いてもたってもいられずに、娘を探しに行こうと家を出たところを拉致されてしまいます。
見知らぬ場所で目覚めた主人公を待っていたのは「マトン」と名乗る人工知能。
Drホワイトを名乗る科学者に「感情を交えない観察者」として作られた彼は、主人公に「救世主となるための試練」を受けるよう伝え、ある映像を見せつけます。
それは、水に浸かった部屋で弱ってゆくユミエの姿…

選択の余地などなく、試練へと向かう主人公。
果たして無事に、ユミエを助け、家に帰れるのでしょうか?


まー、大体、スクショを見ていただければわかるとおりのゲームです。
あっさり可愛いグラフィックで、鬼畜な選択肢を突きつけてくる…
あたりめさんの作るものは徹底してますねぇ…;

目の前に死に瀕する人間を見て、それを自分が救える手段を持っている、となれば…
大抵の人が、反射的に助けようとすると思います。
…ただし自分が安全圏に要る場合、それで自分がなんの被害もこうむらない場合…は、ね。

目の前には、これから残酷な死を迎えようとする人物。
その人を助けるためには、自分が痛み苦しみ、血を流さなければならない…なんて。
それこそキリスト様じゃあるまいし、イキナリこんな不条理選択突きつけられても…;
ちょっとSAWを彷彿とさせる惨い選択肢の数々に、こちらのSAN値がどんどん減っていきます。
ていうか、コレ、試されてるのはプレイヤーじゃないっすかね…;

6つの部屋の6つの試練。
そのあとは…我が子の絡む、究極の選択が待っています。
全員救う?あるいは全員見捨てる?
一部だけ助ける?助けるとしたら一体誰を???
エンドは8つ。果たして皆さんがたどり着くのは、どのエンドでしょうか…

…いやはや、プレイヤーの葛藤を誘う微妙なバランスが、悪魔のような一品でありました。
(褒め言葉です)

最初の2部屋は、まあ…謎解きに詰まることはあっても、助けることには悩まないと思います。
なにしろ無実の人たちですので。
3部屋めも、罪…といっても、被害者も加害者も自分ですからね。
むしろ、よほど辛いことでもあったのかって気がして、そう悪くは思えない。
問題は4部屋めからですねえ。

6部屋めはちょっと、私的には「死んでいい」までは思えなかったな。
追い詰められてやったのか、まあいいか?でやったのか、あの話だけではわからないし。

4部屋、5部屋めは…正直、逝ってよし、と思いましたね。
しかし、この殺し方はいただけない…いくらなんでも、見てるこっちがトラウマになりますわ。
もしも、もっと見た目が穏やかな?死に方だったとしたら、抵抗なく見殺しにできたかもしれませんが…
『いくら悪人とはいえ、こんな残酷な死に方は…』なんて思ってしまってねー

しかも彼らを助ける代償がまた……4部屋めはともかく、5部屋めはハードル高すぎです。
彼を許すというのなら、被害者と同じ痛みを背負ったうえでやれ…というのはある意味正論なんだけどさ!
(これが冒頭のスクショの部分です)切るだけでなくミキサー…しかも他人の腕はダメとか。
すべての逃げ道と可能性を叩き切る、緻密な巧妙さがオソロシイ。
他にどうしようもない、というところに追い込まれて、プレイヤーはそれぞれの心の内にある「善悪」や「罪」の価値観と向かい合わされることになるわけです。

ひょえー…なんて怖いゲームだろうか…^^;

…私はエンドA~Dと、ノーマル・ハッピー・トゥルーの7種を見ましたが…一つだけ見つかりませんねぇ。
後半の、Dr.ホワイト自身に関する質問と、最後の質問の内容が何か関係するのかな…?

短いけれど、何かすごく考えさせられるゲームでした。
あっさりした残酷描写に抵抗のない方は、ぜひどうぞー







ていうか、そもそも二択が悪いんですよ。二択が。
右でなければじゃあ左って。
上とか下とか斜めとか、人の思考には二種類以外の判断基準もあるでしょうに。
「答え」が相手の想定するものの中でしか選べない、ということが、既に一つの罠だよね!