当神社で御祈祷を受けられる方は、本殿に入ってまず座席に着いていただくことになります。
普段見慣れている椅子とは違うので、はじめは戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。
この椅子は『胡床(こしょう)』と呼ばれるものです。 古くから祭典時に使われている椅子で、背もたれのある普通の椅子を用いる神社もありますが、折り畳みできる便利さもあってか多くの神社ではこの胡床が使われているかと思います。
どうしても布の部分に深々と座ってしまいたくなりますが、実は正しい座り方があり、それは “胡床の枠に座るように、ごくごく浅く腰掛ける” というものです。
それによって背筋が伸び、立ち上がり易く、そして長く座っても疲れにくいのです。 深々と座ると自然と猫背になってしまい、段々と腰回りが痛くなってくるのが分かります。
正しい姿勢
良くない姿勢
しかしどうしてこのような椅子が昔から使われているのか… それは神社での祭式作法にも関わっています。
神社の作法では立った状態を基本とする『立礼(りゅうれい)』と、床に正坐した状態を基本とする『座礼(ざれい)』に分かれていて、椅子に座るというのは立礼に含まれています。
つまり “本来は立っているべき場面だけれど、立つ時間が長い時は辛いかもしれないから座ってよい” というのが椅子に座った状態という事です。 ですので座った状態でも心身を正していることが求められるわけです。
少し細かい話かもしれませんが、胡床にお座りになる機会があれば思い出していただければと思います。