まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

加藤剛さん逝く

2018年07月11日 | 日記

俳優の加藤剛さんが亡くなった。
朝は忙しくて新聞もテレビも観なかったので
今朝になって初めて知った。

実に端正な顔だちの二枚目スターだった。
私生活は知らないが
その人柄も端正そのものであったと聞く。
酒もたばこもギャンブルもやらず
生真面目に俳優の道を歩み続けた80年の生涯だった。
同じ俳優座出身の仲代達矢と
何かにつけて比べられる存在ではあったが
決して奇をてらった演技ではなく
地道に役を掘り下げて行く威勢が好ましく思えた。
加藤剛さんと言えばどうしても「大岡越前」が話題になるが
テレビは観ていないのでよくわからない。
松本清張の「砂の器」の和賀英良役も素晴らしかったが
私が印象に残っているのは「忍ぶ川」である。

三浦哲郎の芥川賞受賞作を
熊井啓監督がメガホンをとった恋愛映画の傑作である。
確か1970年代の作品ではなかったか・・・
料亭・忍ぶ川の看板娘である志乃〈栗原小巻〉に
一目ぼれした大学生・哲郎〈加藤剛〉の恋愛模様を中心に
二人の心の軌跡を丁寧に追っていく。
今どきの好いた惚れたの賑やかな恋愛ドラマではなく
実に古風な抒情的な恋愛映画である。

栗原小巻の初々しく儚げな演技がよかった。
それを受け止める加藤剛の純真な大学生役がよかった。
愛を風景として撮ったというキャプション通り
愛という不確かで目に見えないものを
いかに映像化するかに腐心する熊井監督のカメラワークがよかった。
三浦哲郎の芥川賞受賞に対して
審査員の一人が「いつの時代もなくてはならない小説だ」と
最大級の賛辞を述べたと聞くが
同じ意味で「いつの時代もなくてはならない映画」だと
私も大いに賛辞を贈りたい映画だった。

加藤剛さん、どうか安らかに・・・


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