映画監督の降旗康夫さんが亡くなりました。
旗を降るという名字がカッコよく
どんな人なのだろうと常に畏敬の目で見ていました。
もともと長野県に多い名前とかで
清和源氏の子孫にあたる由緒正しき武士の家柄だそうです。
確かに「古武士」然とした面差しで
自らの旗を降り続けた気骨の映画監督でした。
長野県の名門・松本深志高校から東大の仏文を卒業。
古き良き旧制高校時代のバンカラ気風と
仏文出身ならではの深い教養に裏打ちされたインテリでした。
東映の東京撮影所に入社されてからは
菅原文太や高倉健と組んでヤクザ映画の全盛期を築きました。
とにかく寡黙な人で高らかな演出論をぶつこともなく
作品が出来上がってみればいつの間にか「降旗流」になっているという
不思議な磁力を持った監督さんだったようです。
同じ「寡黙どうし」で健さんとはウマが合ったのでしょうか。
高倉健さんと組んだ「駅・STATION」や「居酒屋長治」「夜叉」など
数々の健さん映画のメガホンをとりました。
そうそう「鉄道員」や「あ・うん」もそうでしたねえ。
どの作品も決して大見え切ったような派手な演出はありませんが
人間の感情のひだを丁寧に掬い取るような映画でした。
どこかの新聞が「滋味あふれる映画」と表現していましたが
まさに言い得て妙だと思いますねえ。
健さんに続いて監督の降旗さんも逝ってしまわれて
もうあの世界は見られないのかと思うと
やはり寂しさを禁じ得ません。
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