Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

耳をすます

2007-04-05 20:17:09 | お勧めの・・・
<耳をすます>、これは日本語独特の言い回し。外国語では「明らかにする、はっきりする」がいちばん近い意味だそうだが、私はこれを=(イコール)で結びたくはない。

先日購入したエッセイ集 『耳を澄ませば』 を読んだ。<耳をすます>にこだわりをもち、ほぼ偶然に見つけた本、迷わず買い求めた。光を失い音で情報を補ってきた著者・三宮麻由子さんがあるとき意識的に耳を澄ましてみたら、どの音も、その正体である芯の音のほかに余韻や響き、反響、そして手ごたえのような質感を感じたという。

耳をすますことによって、それまで見えていなかった本質が見え、私たちの感受性も呼び覚まされるのだと思う。もっとも感覚的なものだから、それはクリアにするとか明らかにするとは次元が違う。自然の中で耳をすませばその息遣いまで聞こえる。音楽の手をとめて耳をすませば自分の出したい音がわいてくる。日常の中で耳をすませば心が聞こえる。

私は音楽を仕事としているので、何より《耳》が特異エッセンスとなる。子どもの頃から耳で音を聴きわける訓練を受けているから、耳は敏感に素早く反応する。どんな時でも耳をすまして、いつも研ぎすまされた鋭い感覚を持ち続けていたいと思う。


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