Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

音楽療法士の週間日記

2007-01-28 16:34:05 | 音楽療法
先週も大忙しの1週間だった。
でも疲れしらずなのは、毎日こんな出会いがあるから。

月曜日 
老健(介護老人保健施設)・新館一般棟<歌の会>で
歌好きのAさん「先生のピアノは歌いやすいわ、いいわよ~」
私「声楽出身だから、こんなふうに歌いたいという気持ちが伴奏にでているのかも」
Bさん「それに最近、すごく味があるの」
「味がある」は最高の褒め言葉、ありがとうございます。最近・・・、心身ともにいい環境の中で音楽が磨かれていることを、私も感じている。

火曜日
老健・本館一般棟<音楽療法セッション>で
Cさん「オレさ、音楽嫌いだけど綺麗な先生(私のこと?)に会いにきたよ。歌ったら気持ちよかった。もっと早くくればよかった」
Cさんは気難しい男性、いわゆる「フン音楽なんてやってられるか」タイプの人。声かけしても無視される3か月、こういう人には音楽ではなく他の場面で思い切り笑顔で「こんにちは、お元気?」と話しかける。これは私の得意技、「音楽の先生にニコッとされると無視できねエ」は過去に何十人といる。それも全員男性で、スタッフには××キラーと言われている私。
翌日の<歌の会>にも「でるよ、一度決めたら曲げない。今まで悪かったナ」
元気な頃はカラオケマイク離さずだったらしい。

水曜日
認知症グループホームで
Dさんは老健からグループホームへ入所し2年経つ。とにかく歌が好きで知らない歌はないほどだったが、最近は認知症が進み、歌を忘れたカナリアになることが多い。そのDさん「あんた歌うまいね。心にしみるよ。私は歌は歌ったことがないけど、聴いてると懐かしい時代を思い出すよ。歌はいいねエ」としみじみおっしゃる。
私「Dさん、一緒に歌いましょう」と20曲くらい歌った。
Dさん「あれ? 歌えちゃったよ。私も歌えたよ、よかった、楽しいよ」

木曜日
その1 老健・認知症棟<音楽療法セッション>で
Eさんは50代、一日中大声で叫んでいることが多い。エレベータのドアが開く前にもう声が聞こえる。介護スタッフが「今日はどうにもならないんです」とEさんをはずす。でも私はこんな日こそ参加してほしいので「私が話してみる」というと、「絶対無理です。話通じないし・・・」とあきらめ顔の返事。
私「Eさん、これから音楽なんだけど一緒に歌わない?」
Eさん「歌う」とはっきりした返事。
私「向こうへ行きましょう。私の近くに来る?」
Eさん「行く。歌う」

1時間のセッション中、私は視線をはずさない。弾きながらのかなり無理した姿勢だったけどEさんに歌いかけると、Eさんも一生懸命こちらを見て歌う。険しい顔がだんだんほぐれてきて、笑顔もでてくる。
スタッフ「先生さすがだね」
私「私ではなく音楽の力。Eさんに歌は必要だと思うわ。いつでも呼んで」
その後Eさんの叫び声はおさまった。おやつを美味しそうに食べるEさんは歌ったことも忘れていたが、個別訓練として歌の時間を組むことにした。

その2 老健・夕方のデイケアで
音楽療法室は1階デイケア(通所リハビリテーション)フロアの一角にある。4時半には利用者さんが帰宅し、スタッフは片付けと翌日の準備のとき、私はピアノを弾いていることが多い。今弾いているのは、クラシックをBGMに編曲したものやジャズ風にアレンジした曲集。どちらも黄昏時にしっとりくる曲ばかりで気に入っている。1階には事務所や訪問看護ステーション、居宅支援事務所、厨房、リハビリ科があり、ピアノがあちこちに聴こえるらしい。「癒されます。心がもどる」と忙しかった一日の終わりの音楽になっているようで、リクエストも多い。これも音楽療法。

金曜日
大好きな桐生の子どもたちと
総勢20人、こんなに多いのははじめてだった。全身で表現する「動」の音楽、前日までの高齢者とは全く違う形の音楽療法。皆で「楽しかった」、バンザ~イ! 


いつものように走り回る1週間が始まる。
今週はどんなことがあるのか、ワクワクドキドキ
 


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