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フィンランドは教育大国?

2008-03-04 21:49:15 | フィンランド
新聞記事で、書店で、TV特集で、<フィンランド=教育>をよくみかける。本屋さんの教育コーナーでは、フィンランド関連の書籍が何種類も紹介されている。友人たちも「フィンランドの教育ってすごいのね」と私の顔を見ると絶賛している。フィンランドの教育が取り沙汰されるようになったのは、この数年。世界レベルでの学習到達度調査・PISA(経済協力開発機構OECDが開発)の結果がいちばんだったことが、日本人の競争意識に火をつけたような気がする。日本は教育を誇っていた(いる)から。結果だけ評価するとフィンランドは日本よりずっと上になるが、私は一概にそうでもないと思っている。

30年以上フィンランドと関わり、留学経験もある。フィンランドをこよなく愛し、第2の故郷と思って毎年出かけているほど大好きな国。「でもそれとこれとは別」と思っているのが、特にこの大騒ぎしている教育問題。誰かに褒められるともちろん手放しで嬉しいが、「日本とフィンランドは社会制度も、人口も違う」がとりあえず私のひとこと目。「税金も高いし、夫婦で働かないととても生活できないし、人口は日本と同じ広さで530万人だし、資源はないし・・・」。

フィンランドの義務教育にあたる学校は9年。95%が公立学校で、国や地方自治体の方針が浸透している。特にこれといった資源がないフィンランドでは、人材育成が国の大きな目的とされ、それが実を結んだ結果がこの世界一の学力を誇る教育でもある。義務教育の後は、それぞれの希望と能力にあわせて、高校でさらに勉強を続けるか職業専門学校へ進む。いわゆる高校を卒業すると、アカデミックな勉強をしたければ大学へ、何かを専門的に勉強したければ専科大学か専門の上級学校ということになる。日本のように、「とりあえず大学へ」とは考え方が違う。

フィンランドの教育は「答えではなく考え方を教える教育」と言われているが、確かに知識重視で答えを求める日本の教育とは違う。でもクラス編成は20人以下、教師は全員修士号をもつ環境である。でもそのフィンランドでも教師の暴力、不登校、学究崩壊、銃社会が広まりつつある。また日本のようないわゆる塾はないが、教育熱心な親は多く、例えば英語を習得するために中学生から海外研修に行かせたり、幼少時から早期教育を受けさせているし、都市部では「いい学校へ」意識が高まっているのも現状。私にしてみれば「いよいよフィンランドもそうなったか」なのだが、フィンランドの一面だけではなく、様々な面も紹介しながら参考にしてほしいと思う。フィンランドだって日本の教育制度に大いに関心があり、参考にしているのも事実だから。



まだまだ寒いフィンランド!


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