すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

砂をあるいて

2017-01-27 00:33:30 | 短歌
かたほうの目をとじて見る鼻のさきぼんやり西山は春になる

まるごとの牛タンのこと原木と呼ぶんだって、とひらひらの舌

あけがたの駅のベンチがいっせいに横向いた春 春に呼ばれた

靴と砂おなじ温度になるまでのしばらくあるくのをやめようか

ゆるされた海鳥たちよ突堤の「飛び込み禁止」の文字は消えそう

   須磨海浜公園駅からではなく、須磨駅から。

ひと駅ぶん砂をあるいて鳥をみて海のほうからまわる組です

「蟹が畳に上がれば雨になる」という町のどこかの畳に蟹が

須磨海浜水族園のそとがわへ還ればとおく見えた幻日

巻貝の殻に詰まった砂粒をほろほろおとす 海をわすれる



(「未来」774号 2016.7月)








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