すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

ナミアゲハ

2013-01-23 16:41:21 | 短歌
泣いたのはヤモリ 硝子の水槽のちいさな森の底で迷った

守るなら外側からにしてねって深夜の扉 ヤモリを放す

クスノキの北限よりも北の街(でもおなじ樹を見あげたかった)

  アオスジアゲハがいなくなった水槽に、ナミアゲハの幼虫が来る。

嘘の眼はどこをみているほんとうの脚をちいさく前へあつめて

青虫はおなかの中に(Uターン、むずかしいよね)波を抱く船

どこ どこ どこ 問いはぽってり重くなりガラスの縁をあるきはじめた

もういちど会えるだろうか 眠る場所さがしにいったきりの一匹

うすもののみどりの服は脱ぎ捨ててみたら灰色だったとわかる

ナミアゲハのナミは並(ほんとうですか)うまれた羽にうちよせるもの




(「未来」731号 2012.12月)



出して三か月後に載るのをさらに一か月たってからアップ、ということをしているので、季節感についてはあきらめてくださいねー

いまは、家の前にあるミカンの木(ほとんど野生状態で、虫たちの栄養源であった……)に、ひとつだけ実がなっております。


コメント (2)
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