すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

うろこぐも

2010-12-10 17:07:40 | 短歌
きみがいる場所は地球の表面のミカンの小枝 知らなくていい

長い夏ながいいちにちただじっとじっとしている蜘蛛の体力

飛んできた枯れ葉を蜘蛛は両手で(と思ってしまう)はずして捨てた

ぬけがらをかたわらに置きぬけがらとおなじくらいのおおきさでいる

その網はかこまれているすぐちがうおおきさになる青い蜜柑に

八本中四本の脚くるくるとほら糸巻きの歌がはじまる

ただなにか抱きしめているようにしかみえない 裸眼で牙はみえない

単眼に映るだろうか きみの背に似合うかたちの秋の雲だよ

ボビンケースのなかのボビンというものを今おもいだすわたしの回路

からからと風がふいたらまわりだす あれはとおくの観覧車です



(「未来」707号 2010.12月)



「秋のスイッチ」に一首だけ登場したウロコアシナガグモくんが、ここでメインになっております。

網(≠巣、だそうです。)にいる蜘蛛の写真を撮るのはけっこうむずかしい。そんなに風がないようにみえてもずっと揺れているから。
コメント (2)
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