すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

かえりみち

2012-08-21 15:20:02 | 短歌
ビー・ポーレンふた粒提げて川沿いの道をよこぎる春のミツバチ

 
ナノハナは花の名ではない 堤防をなだれ落ちるきいろきいろきいろ

  蜂蜜専門店に、蜂花粉(ビー・ポーレン)も売られていたが。

花粉団子ガラスのなかにぎっしりと(瓶は店ごと消えてしまった) 

うつくしくまるめられない日もあるか月は東に巣箱は西に

通学路・死海の匂い・未知の熱 はじめてアスファルトに会った日

  雨あがりのナガミヒナゲシには、ホソヒラタアブがよく来る。

こころぼそい手つきの虫はもういちど濡れた雄蕊をかぞえなおした

「イ・ロ・ハ」まで覚えたモールス信号はおぼえることがひみつだったのに

四時半のチャイムが鳴ればここはもうかえりみちっていう場所になる



(「未来」727号 2012.8月)



 歌集のなかに、赤土と砂利でできた国道の歌を入れたら、そんな国道はないからこれはファンタジーって言われたことがありますが、60年代の田舎にはあったのよ……

「アスファルト」というものを見たのはたぶん小学生になってからで、ある日、帰り道が怪しい黒い物質に覆われ始めていて匂いに酔いそうだった、という記憶があります。


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春の窓 春の机

2012-08-21 15:14:38 | 短歌
ここがいちばん、とならんだ鳥たちは朝のひかりにおなかをみせる

はばたいていった先では二羽になる 春の硝子をよこぎる一羽

    「ドングリキツツキ」の映像を見て思い出した。

HBの芯がささっていた机(そんなにやわらかかったの? 机)

    助動詞が名前ってよく考えるとすごい。

「べし」の絵はどっちが上手か見せあって男子はライバルでしかなかった

    絵は好きでも、図工も美術も得意じゃなかった。

胸像はみんなつめたい白でした 真冬の腕は邪魔ないきもの

先輩がいなくなっても(色鉛筆で)書いてもらった名札をつける

それにしても切りすぎだろう 桜散るなかでポプラは肩をさらして


(「未来」726号 2012.7月)




「べし」は赤塚不二夫「もーれつア太郎」のキャラです。(ええ、「小学○年生」の連載をリアルタイムで読んでいましたとも!)

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熊蟲三連符

2012-08-21 15:10:51 | すぎな日記
またまた更新がおそくなってしまった 二か月分まとめていきます。

まずは、前回載せたクマムシ短歌といっしょにつくったクマムシ詩(?)。出すところがないのでここにアップしておきます。 (ほんとは「しいか.com」っていうのに出してみようとしたけど、クレジットカード持ってないと投稿券が買えないと判明して断念したのさ……) 




   熊蟲三連符

おいで おいで おいで みどり
おいで おいで みどり みどり
おいで みどり みどり みどり
みどり みどり みどり みどり

オキテ・イルト・ジカン・ハヌレ・テイル
コケヲ・フンデ・アフレ・ルモノ・ヲヨブ
ボクハ・タブン・クロレ・ラヨリ・ツヨイ
ネムッ・テイル・トキハ・モット・ツヨイ
ミンナ・カンポ・ドウブ・ツニナ・ロウヨ
ヒカリ・ガトキ・ヲカワ・カシテ・ユクヨ

ひかり ねむれ ねむれ ねむれ
ひかり ひかり ねむれ ねむれ
ひかり ひかり ひかり ねむれ
ひかり ひかり ひかり ひかり

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