イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

カエル効果でビジネス招致もかなうか、晴れた日の日光浴とストックポートの開発祈願

2023年08月18日 01時42分20秒 | ストックポートとその周辺

きのうは日中気温が25℃前後、久しぶりに雨が降らず気持ちのいい1日でした。

ストックポート駅前の新しいビルが並ぶ ストックポート・エクスチェンジ Stockport Exchange と呼ばれるちょっと開けたエリアに行ってみました。

 

おなじみのストックポートの観光イベント、カエル探し Frog Spotting の話題です。

オービル Orville(作品番号3)。

1903年にアメリカ合衆国のノースカロライナで世界初の有人飛行機の飛行に成功したウィルバーとオービルのライト兄弟の偉業をたたえた作品です。

(男の子がフードにニセ毛皮の縁取りのある真冬のコートを着ているのに注目です)

 

わかりやすく、青空をバックに黒い飛行機が描かれています。

 

空港に近いストックポートでは上空を飛ぶ飛行機をひんぱんに見かけます。この日は天候の都合か、機体はすべて高すぎていっしょに撮影できませんでした。

 

 

右側の奥にちょこっと写っているカエルのオービルのスポンサーは、世界的なホテル・チェーン、ホリデイ・イン Holiday Inn。

12時過ぎでした。チェックイン時間前だったのか何組もの人がスーツケースを芝生においてデッキチェアで日光浴をしていました。

 

街のオープンスペースにおかれたデッキチェア、英国の夏の風物詩です。

ほとんどの人(特に女性)が老化を促進する紫外線に肌をさらすのを徹底的に避ける日本では考えられませんよね。今はとにかく何より暑すぎるんでしょう?

...西洋人にとって晴天の日に外にでて顔を太陽に向けて目をつぶるのは 持って生まれた本能のような習性です。

日焼けに対する強烈な執着は英国(のみならず欧米諸国全般)で生まれ育っていない私の理解をはるかにはるかに超えています。

皮膚ガンを誘発、肌の老化を進めるなど紫外線の害はもう十分啓蒙されているはずなのに、「日焼けして美しくなりたい」強烈な欲望にあらがうことができない人が多すぎるのです。

日光を浴びないと鬱になると公言している人、日光に当たっている時の自分は美しく内面的にも強くポジティブでいられると思っている人が実際とても多いようです。うちの夫も日光に顔を向けて恍惚状態になっている時に話しかけられるのをひどく嫌がります。サッカー観戦している途中に話しかけられた時とよく似た反応です。

「太陽光線に身をゆだねた自分」を一種、神格化したような精神状況なのでしょうか、何者も立ち入ってもらいたくない状況なようです。

 

...上の写真のホリデイインの左側に現在建築中のビルが見えています。

これ☟

 

ストックポートの有名なランドマーク、ストックポート・ヴァイアダクト Stockport Viaduct (鉄道橋)の周りの、バス・ターミナルだった場所もバスターミナルを取り込んで、ショップや緑地エリアなども含む壮大でモダンななオフィス・ビル街に開発される過程なのです。

ロンドンやバーミンガムなど南部の大都市から北部の大都市、マンチェスターに向かう乗客に、電車のスピードがぐっと落ちるヴァイアダクトの通過中に見下ろして「おおっ、ストックポートはなんて発展した町なんだ!」と感心してもらう効果バツグンなのかもしれません。

 

ストックポート・エクスチェンジに話を戻します。

フログワーツ Frogwarts (作品番号2)

この写真は、別の日の夕焼け空が美しい夕暮れ時に撮りました。

蒸気機関を発明したウィリアム・ニューコメンとそれを発展させて蒸気機関車の原型を発明したジェームス・ワットの偉業をたたえた作品です。命名も表現もちょっと苦しいですね。

フログワーツは「ハリー・ポッター」に出てくる寄宿学校の名前ホグワーツにかけていますし、表面のペイントも(たぶん、赤いし)ホグワーツ・エクスプレスのつもりでしょう。子供ウケはバッチリですね。

無料でもらえるカエルめぐり地図の解説によればフログワーツは「ストックポート駅の、9と 3/4 番線から発車する」と書かれています。いえ、ストックポート駅にはプラットフォームが有名な「0番線」を含めて5本しかありませんてっば!

 

もちろん、駅の坂上エントランスのすぐ外に設置されています。

 

このストックポート・エクスチェンジ、開発が完成したのはパンデミックの2年ほど前だったと記憶しています。

「完成予想図」とともに開発予告が載った地方新聞には「ストックポートはヨーロッパのビジネス・ハブ(放射線の集まる中心地)になる Stockport will be the European Business Hub」という、「かってに言ってろ」レベルの実現度の壮大な標語が掲げられていました。

ムリなのは明白ですが、荒唐無稽とは言い切れない国際ビジネス立地に欠かせない要素は、ストックポートにはたしかにあるのです。

マンチェスター国際空港までクルマで15分足らず、30分おきに発着する空港直通バスも駅のすぐ下の通りにとまります。そして何よりも鉄道の便!マンチェスター行き、マンチェスター発の全ての列車がストックポートにとまります。

もちろんストックポートはぜんぜん「都市 city」の機能を充たしていないただの「町 town」なのですっ!!...が、それでもマンチェスターとロンドンを結ぶ鉄道路線、主要都市だけに停車する「インターシティ Intercity」もストックポートにとまります!

...その理由は、ストックポート駅のプラットフォーム直結の、ストックポート・ヴァイアダクト。

以下、ストックポート住民の「お国自慢」(実話)です。

リバプール-マンチェスター間を世界初の鉄道が開通した時、すでにここストックポートに駅を建設する計画がありました。

首都ロンドンに至る鉄道開設のため、谷底の町、ストックポートをまたぐ壮大な鉄道橋の建設が必須。それと引き換えに、未来永劫に「マンチェスター行き/発の列車すべてをストックポートに停車させる」という条件を当時(1840年)のストックポート市長が鉄道省に承認させたのだそうです!!

ストックポートは、国際ビジネス都市マンチェスターよりもほんのちょっとですがロンドン、バーミンガムよりです。マンチェスターからよりずっと空港にも行きやすいですし。お家賃もマンチェスターに比べればグッと安そうです。

ただ...駅前のストックポート・エクスチェンジの青い空を映し込む美しい鏡面ガラス張りの新型オフィスビルには空きスペースが多そうです。

パンデミック以来、リモートワークが定着した今、空港に行きやすいとか鉄道の便がいいとか、どれほどの利点(説得力)があるのでしょうか。どこにいたって会議や商談はできますのに。

建設ラッシュのストックポート...本当にもくろみ通りに行くのかどうか...

 

コメント (2)
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