酷暑のバルセロナから帰省している息子が、マンチェスターのラーメン・レストランに連れて行ってくれました。
その名もトーキョー・ラーメン Tokyo ramen 。
経営者は、息子がストックポートのスケートボードコミュニティで知り合ったフィリピン人の男性です。
以前の勤務先のスシ・チェーン店、ヨー!・スシ Yo! Sushi で余った大量のお寿司をよく息子に分けてくれていました。息子がスペインに移住後も、ストックポートで見かけた私に挨拶してくれた礼儀正しい若者です。
今や、小さいながらも自分のレストランをマンチェスターの一等地で経営する経営者!彼の苦闘時代を知っているだけあって、感無量です!
開店してから5年はたつはずですが入ったのははじめて。息子と一緒に行く機会を待っていました。
醤油ラーメン£14-25(2,630円)は高いですね。(息子がごちそうしてくれました)
飲み物(缶チューハイとラムネ)は店主の厚意でサービスにしてもらえましたが10ポンドのチップを置いていきました。
日本の醤油ラーメンとはスープの味が違いましたが、ウソ偽りなく美味しかったです。場違いな、甘辛いアナゴがのっていたのもうれしかったです。
息子の塩ラーメン(奥)の味見をするのを忘れました。手前は娘が注文した「火/Fire」という鶏ガラ出汁のトウガラシ風味のスープです。日本で一度だけ食べたことのある、韓国の煮込み風の味でした。値段はいずれも同じ£14-25。
英国のラーメン・レストランは私の知る限りすべてオープン式の丸見えキッチンです。
日本のカウンター式の「町のラーメン屋さん」を意識しているんでしょうね。
黒が基調の簡素でしゃれた雰囲気の店内です。
大テーブルをはさんだ向かいの女性3人連れは、スプーンに押しあてたお箸かフォークに麺をていねいに巻き付けて口にそぉ...っと運んでいました。私と成人した子供2人がお箸でツルツルすすり上げているのをチラチラ気にしながら、音をさせずに上品に食べていました。
ウェイターとして1人で店内を忙しく駆け回っていた、経営者の息子の友人に「本当においしかった」と言うと、「ありがとう、うれしいです」と感激してくれました。
なぜか、英国ではおなじみの鉄板焼きはじめ、日本料理レストランの経営者のほとんどがフィリピン人です。
話は飛びますが...
私は、英国に来て30余年、20代半ばから還暦の現在まで英国人から「実年齢よりも10年以上若く見える」とよく言われます。(お世辞もあるでしょう)
概して言えば、東洋人は英国人にはかなり若く見えるようです。コーカサス人(=白人)は男女ともに20代以降、急激に老け込む傾向にあるものですから。
英国では肥満対策が国民的課題なのもよく知られていますよね。
たしか20年ほど前まで、多くの英国人女性が「日本人の若さと健康と長寿の秘密である日本食」の話を私としたがりました。
曰く、「あなたたち日本人のように海藻や醗酵した大豆食品を積極的に摂取して菜食中心の食事に切り替えれば、私も若さと体型を維持できるかしら」... 私たち日本人は子供の頃からそれらの日本固有の健康食ばかり食べてきたと思っていたようです。
私個人に関しては...日本に住んでいた20代前半まで、お味噌汁、ご飯に焼き魚、炊き込みご飯の他、そば、うどんなど濃いつゆ味の日本食は好きでしたが、納豆やお漬物、梅干しなど純粋で淡泊な和食を日常食べていた記憶がありません。
私たちの世代からすでに、成長期の子供たちには肉中心の献立が望ましいと言われていたようですし...
学生食堂や社員食堂でも定番のトンカツ、スパゲッティ、カレー、エビフライ、ハンバーグ等は成人してからもよく食べていました。友人との会食はイタリアンやちょっと気取って中南米や東南アジア料理...などでした。回転ずしなどなかったころ注文して握ってもらうお寿司は敷居が高すぎたような...
現在、私が作って食べるのはオーブンを多用した英国の家庭料理やパスタ類が多いです。
とにかく、彼女たちが「日本人が若々しく肥満しないでいられる」理由は食生活だと誤解しているように、日本人にも「イギリス人みたいに毎日フィッシュ&チップス食べたり、アメリカ人みたいに毎日バーガー食べてたら老化も進むし太るよねー」って思ってる人いますよね...?
食生活はそれほど関係ないはずです!
人種や個体による遺伝子や体質の違いもあるでしょうが、コーカサス人の急激な老化の原因は間違いなく極端な日焼け願望(濃い色の肌を手に入れるための度を超えた日光浴の習慣)ですし、肥満に関しては一概には言えませんが英国はクルマ社会であるなど恒常的な運動不足と、食事よりもむしろダラダラと食べ続けるスナック類に原因があるはずです。
体型を気にして夜食を控えるなど自制できる日本人が英国人一般に比べて圧倒的に多いように思います。食生活よりむしろ意識の違いでは?
私たち東洋人は浅黒い肌が特別美しいと思う美意識がありませんし、紫外線の害を知っていますのでむやみに日に当たらないよう気をつけていますよね。このことを指摘するとたいていの英国人は動揺しますが日光浴はやめません。若さと日焼けした肌なら後者を取る人が多いでしょう。
とにかく、高度成長期の豊かな時代以来、日本人一般の食生活はそれほど健康的ではなかったはずです。後述します。
また話をかえます。
マンチェスターのショッピングセンター、アーンディル・センターArndale Centre に付随した庶民的なマーケット、アーンディル・マーケット Arndale Market のー角に、あやし気で楽しい「国際ストリート・フード街」があります。
日本のショッピング・モールの「フード・コート」のように共有の飲食スペースがあります。
お昼時などは圧倒的に座るスペースが足りません。近隣の職場などに持ち帰る客がターゲットの、ファーストフード店の寄せ集めのような様相です。
その中の一店、私が注目していたのが....日本のストリート・フード店、トーキョー・トーキョー Tokyo Tokyo。
ゴロのいいしゃれた屋号です。調べてみたら、アメリカ合衆国に手広くチェーン展開している同名のラーメン・レストランがありました。
経営者は、やはりフィリピン人のご夫婦と見受けます。多彩なトッピングが売り物のラーメンをメインに供するレストランのようです。利用したことはありません。
追加メニューの品目に注目です。
撮り方のせいか、褪色のせいか、ぜーんぜんおいしそうに見えない薄気味の悪い色合いの写真の数々...
エビ天ぷら、ギョーザ、テリヤキどんぶり、親子丼、手羽先のピリ辛あげ、ピリ辛焼きそば、ピリ辛うどん、ピリ辛からあげ丼、お好み焼き、サバのかば焼き丼... よくやった!とほめてあげたいようなイマ風なセレクションです!
7ポンド50ペンス(1380円)を中心とした価格帯です。いかにも「値上げしましたっ!」って感じで、適当に切ったマスキングテープを上から貼り付けて値段の訂正をしているところが...ショボいですね。
繁盛していました。見かけで判断するのは絶対に失礼です。オーセンティックな日本の味かどうかにこだわらなければ、上記のトーキョー・ラーメンのように驚きのおいしさだったりすることがありますよね。そのうち、試さなければ。
日本料理と言えば、寿司、スキヤキ、天ぷら、鉄板焼き...は過去の話です。現在、並大抵の量ではないSNSで発信される情報をたよりにとても多くの欧米人観光客が現地で地元の日本人が好む街の外食を楽しんでいます。
欧米全域でイメージする日本食の筆頭はズバリ、ラーメンです。
他に彼らが好む日本食は、今や日本人ですら毎日欠かさず食べる人は少ない純和食ではなく、唐揚げ、餃子、エビフライ、ソース焼きそば、トンカツ、日本風カレー、チャーハンなどの、中華、洋食由来のB級グルメ食が主流になっています。
今年、私と日本で合流した私の子供2人もラーメンには夢中になりました。ラーメン屋で餃子にも味をしめました。コンビニで格安で食べられるアツアツの唐揚げにも大感激しました。以前から、トンカツとエビフライは大好きです。お好み焼きと肉まんは食べていないはずです(残念)
いずれも、「和食」ではなく決して健康食とは言えない脂っこい、味の濃い「がっつり」食ばかり。毎日食べたら成人病になりそうです。
ちかごろ、「日本食で若さと健康とスリムな体形を手に入れたい」と話題にする人がめっきり減った理由がうなずけます。
トーキョー・トーキョーのカウンターの写真を撮ったのは1か月ほど前です。ここ2週間の間、2回前を通ったのですが2回ともシャッターがおりていました。閉店したのかお店の人が帰省でもしているのか、不明です。
ストリート・フード街でタコ焼き屋を見つけました。
7ポンド(12,90 円)はオヤツにしては高すぎますね...。