スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

京都迎賓館(真夏の京都 前編)

2019-09-03 06:19:26 | 建物

京都迎賓館は日本の歴史、文化を象徴する都市

京都で海外からの賓客を心をこめてお迎えし、

日本への理解と友好を深めていただくことを

目的に平成17年(2005年)4月に開館した国の迎賓施設です。

所轄の行政は意外にも内閣府が担当している。

京都の観光ではここは意外に隠れた穴場だと思う。

参観の方式は自由参観方式とガイドツアー方式があり、

事前予約制と当日先着順制の2つのやり方がある。

自由参観方式は一般1500円、

ガイドツアー方式は一般2000円だ。

公開時間は10:00~17:00(15:30受付終了)。

公開時間のちょっと早めに行ったら

まだあまり参観者が無く、楽々申し込みができた。

当館は築地塀を巡らせた品格のある和風の佇まいをしている。

入母屋造りなど日本建築の伝統的な屋根の

形式が組み合わされ、それぞれの技が用途にふさわしい

外観を形成している。それらは千利休が

茶の湯を通じて広めた数寄屋造りという

和の意匠で整えられている。

海外からの賓客のご一行は、車列を組んで

正門(2枚目の写真)から入ってこられ、

この正面玄関に停車し、迎賓館長が

玄関前でお迎えしてご入館する。

東京にある迎賓館赤坂離宮とともに、

国公賓などの賓客の接遇の場としての役割を果たす為の

国旗掲揚塔もある。

正面の玄関扉には樹齢700年の欅の一枚板が

使用されている。又、賓客をお迎えする際には

正面に屏風を置き、その前に生け花をしつらえて

歓迎の心を表わす。

この玄関の巨大な庇の軒天も木が使われ

やさしい存在感を伝えている。

迎賓館の中には随所に伝統的技能が生きた

多くの調度品が配置されている。

この行灯も、釘隠しも然りだ。

なんでも、11種類の伝統技能者の技

(ex.大工、左官、建具、表具など)と

14種類の伝統技能

(ex.漆、蒔絵、螺鈿、西陣織、七宝など)を

活用してまるで現在の日本伝統工芸のオリンピックの様な建物だ。

聚楽の間。ロビーとしての位置付けされる

空間で晩餐会などが行われる際に随行員の

待合とするなど多目的に利用される。

他の部屋と異なり自然光が入らないことから、座面は

鮮やかな赤色の布地を用いて華やかに演出している。

又、各部屋でDVDでの説明もされていた。(自由参観用の為)

夕映の間。ここは大臣会合などの会議や立礼式の

お茶のおもてなし、晩餐会の待合としての使用もされている。

東西の壁面は日本画家の箱崎睦昌氏の下絵を基に

綴織りの技法を用いて制作された織物だ。

東側の作品は京都の東にそびえる比叡山を

月が照らす様を描いた「比叡月映」、

西側の作品は京都の西に連なる愛宕山に

夕日が沈む様を描いた「愛宕夕照」だ。

東西の壁面は可動式になっており、部屋を三分割して

使用することもできる。

最後の写真は北村繁作 螺鈿飾り台「山紫水明」

当館の庭園は深山幽谷から流れ出る水が

注ぎこむ広大な池が、まわりの建物に融け合うように配置されている。

これが古くから日本人の住まいに貫かれた伝統

「庭屋一如(ていおくいちにょ)」

の思想だ。この池にじっと動かない鷺がいた。

京都には鴨川、他の寺院の庭などに鷺を多く見る。

とても絵になり、あまり動かないので写真も撮りやすい鳥だ。

ここ藤の間は、京都迎賓館で最も大きな部屋で、

洋食の晩餐会や歓迎式典の会場として使用されている。

藤の間の舞台では、舞・能や琴の演奏、雅楽などが

披露され、訪れた方々へ日本の伝統文化を紹介している。

部屋の一部コーナーに櫛型にテーブルを並べて

宮中晩餐会方式の雰囲気を演出している。

並べられた椅子、テーブル上の食器も

どれも一流で素晴しい。

桐の間は、和食を提供する「和の晩餐室」だ。

最大24名までの会合が可能なこの部屋では

京料理でおもてなしいたします。

食事中に芸妓さんや舞妓さんによる舞や琴の演奏などが行われ、

宴席に彩を添えている。

この間の座卓は全長12メートルの漆の一枚仕上げという

すごい作品だ。座椅子は蒔絵で背面に

「五七の桐」が描かれている。

これは明治時代より日本国政府の紋章として使用されているもので、

京都迎賓館の紋章でもある。

又、畳も特殊な折りとなって真ん中に筋が通っている。

このガイドツアーのグループは約20数名、

ベテランの女性ガイドさんがマイクで詳細に説明してくれる。

所用時間は約90分間。

真夏の暑い京都でクーラーが効いた建物を

鑑賞できるのは最高だった。

東西の建物をつないでいる廊橋。

この橋を境に池の水深が変わっており、北側の池には

錦鯉が放たれている。

池の中の大きな石柱は豊臣秀吉の時代 天正時代のもの。

この橋の4隅には大工さんの遊び心で4つの虫が彫られ、

このトンボは池の水面の幻想的な光を受けて

神秘的にさえ見える。

ガイドさんの説明によるとこの屋根の素材も特殊なものを使い

サビも出なく、屋根の勾配も優しく

曲線を描いた造りになっているとか。

この施設の概要は敷地面積20,140㎡(6100坪)

構造はRC 一部S、SRC造 日本の空間を感じられる

和風の意匠に配慮し木を活用している。

建築面積は約8,000㎡(2424坪)延床面積約16,000㎡(4848坪)。

地上1階、地下1階 設計は㈱日建設計で

施工者は大林組・鹿島建設・竹中工務店のJV。

総建設費は約200億と聞いた。

京都迎賓館の経緯は平成2年

「平成6年が平安建都1200年の節目」に当たることを記念して

京都に和風の迎賓館建設を、地元知事、市長、

商工会議所会頭連名で内閣総理大臣に要望。

平成6年10月閣議了解、平成17年4月17日に

会館披露式典を挙行した。

海外から賓客に日本の文化「舟遊び」を楽しんでいただく舟和。

2011年11月 ブータン国王、王妃両陛下が舟和を楽しんだ写真。

この時期は東日本大震災があり、宮城県岩沼市の岩沼警察署へ

慰問に行った時、ブータン国王も来られて

警察の方々が大変忙しい思いをさせてしまったことを思い出した。

この迎賓館は広い広い御苑の中にある。

御所の塀は風情のある築地塀で囲まれ、

全く別の世界の様だ。

御苑の中は旧宮家、旧公家の屋敷の遺構も多く残っている。

たとえば近衛家、閑院宮家、桂宮家、賀陽宮家、有栖川宮家

西園寺家、鷹司家、一条家など、とても興味深い。