県外ベスト10というと埼玉県、東京都を除く全国が対象となるだけにエリアは広く、レベルも高い。
県外の店は目的を持っていくケースが多いだけに名だたるお店があり、
10軒に絞り込むのはかなり大変な作業で正直ベスト20位ぐらいが必要だったのでは。
期間は2017年1月19日から2020年10月30日迄の78軒が対象で、それぞれ思い出深いお店が多い。
それは大なり小なり旅とセットになっていることがそうさせるのだろう。
結果的にはメジャーなお店が4軒、中堅クラスが3軒、マイナーなお店が4軒と
バランスが取れたランキングとなった。
第1位 菊乃井 本店(京都)
~番外編277~ 2019-10-26付
京都の老舗料亭「菊乃井」の創業は大正元年というから108年の歴史を有する。
しかし当店のすごさはこの伝統に安住することなく絶えず食の革新を求めている所がすごい。
現代の三代目・村田吉弘氏は和食を世界に広めるため心血を注いでいることで知られている。
そんな菊乃井さんのしつらえは、すべてに主人の心配りが感じられる。
又、料理では茶の湯の心と水に生かされた野菜の出汁で煮含め調理する水の料理は
伝統を守りながら豊かな四季を繊細に表現し、
訪れる人の心にたおやかに余韻を残す不朽の名作を創り上げている。
なんといってもその発想がすごく、この写真でも紹介した様に
ほおずきの実、蓮の葉に水滴など独創的でお客の目を瞬間につかんでしまう。
当店は「料亭は大人のアミューズメントパーク」。
普通の人が普通に働いて、人生の節目に少しだけ贅沢な気分を味わえる店です。
そして伝統を重んじながら柔軟に進化を続ける時代を超えた名店という生き方は、
我が社と同じ創業であり、多くを示唆してくれる親しみを感じる。
第2位 京料理 竹林(宇治)
~番外編224~ 2018-11-29付
宇治市の平等院参道の中で静かな街並みに解け込んだ素晴らしい純日本家屋の京料理屋さんだ。
こちらの店主は京都・菊乃井で修業し、ここで独立した若い料理人だ。
ここでも紹介したが、ご夫婦でお店を切り盛りしており、
帰りがけには外まで2人で送っていただいた本当に素敵なご夫婦だった。
ご主人は今でも定期的に応援がてら勉強も兼ねて菊乃井・本店に行っていると言っていた。
料理も本当にすごく、菊乃井の流れを受け継ぎながら自分独自の世界を作り上げつつあるように感じた。
特にすごかったのは子持ち鮎の杉板焼は上品で鮎そのものの良さを引き出した傑作だと感激すらした。
実に奥深く美味しかった。
機会があればもう一度食したいほどすごかった。
竹林さんの京料理は、すべて納得の懐石料理だったが、特に感じたのは素材の良さとそれを生かす技だ。
この若き料理人はもうかなりのレベルに達し、今油にのっているといった感じ。
さらに今後の飛躍も期待できる可能性を強く感じた。
第3位 ふく おこぜ懐石 活魚料理 あじろ(萩)
~番外編140~ 2017-2-23付
当店は歴史と文化の萩を代表する懐石料理店だ。
上質の和の空間に統一された静謐な和風建築。
そして当店の大将は毎朝セリに出かけ、味覚美食の追求に妥協は許さない。
主たる食材は地物で揃えるが気に入った野菜が無い時は京都から取り寄せる程のこだわり。
こんな「あじろ」さんは今迄食べたふく料理ではダントツNo1と太鼓判を押せる名店だ。
ふく料理のコース、ふく皮のポン酢仕立て、ふくのひれ酒、ふく刺し、
ふくの白子、ふくの唐揚、ふくろり(関西ではテッチリ)、ふく雑炊、
どれをとってもトータルバランスが素晴らしい中でしっかりとふくの良さを主張してくる。
これは大将の目利きと腕の良さから来ているのだろうと感服してしまった。
第4位 瓢亭 別館(京都)
~番外編174~ 2017-12-18付
創業は天保8年(1837年)。
誰もが憧れる瓢亭の朝がゆを食べに行った。
朝食を料亭でとはなんと贅沢なことか。
当店の朝がゆは今では京都人でさえも食べてみたいという憧れの懐石仕立ての朝ごはんだ。
(AM8:00~AM11:00 )
朝のしっとりとした京都の趣きを感じながら梅湯で朝一番の味として口の中をさわやかにし、
名物の半熟玉子など見た目に楽しい三段重ねの瓢箪型の器に盛り付けられた
京懐石を食べながら朝粥が炊き上がるのを待つ。
粥に出汁と醤油で仕上げた葛餡をかけて頂くと、今京都に居るのだなーと、しみじみ感じ入ってしまう。
瓢亭の朝かゆは京の旦那衆が作り、育て上がった食文化だとつくづく思う。
次の機会があったら是非本館で味わいたいものだ。
第5位 焼肉冷麺 ぴょんぴょん舎(盛岡)
~番外編161~ 2017-8-17付
昭和29年、ぴょんぴょん舎がニッポンめんサミットに出店した冷麺が評価され、
盛岡冷麺と名付けられたという。
ということで当店は歴史的なお店と言える。
ここの冷麺のキャッチコピーは「イーハトーブの味伝説」だそうだ。
これは宮沢賢治の世界で岩手県のグルメ文化と言っても良いかもしれない。
いつかは本場の雰囲気で盛岡冷麺を食べてみたいという願望が達成でき、とても満足したのを思い出す。
冷麺は表面がツルツルしてコシが強くシコシコした麺で歯ごたえと喉越しの良さが特色だ。
その上、見た目も爽やかで、まさに盛岡のソウルフードと言ってよい。
すっかりぴょんぴょん舎の冷麺にハマったので東京や埼玉にもお店があるようなので、
是非、盛岡での感動をもう一度味わってみたい。
第6位 ペンティクトン(長野県飯山市)
~番外編209~ 2018-9-12付
ペンティクトンさんは今回のベスト10で一番の大穴だと思う。
飯山市といったら正直田舎町。(地元の皆さん、こんな言い方してすいません。)
紹介者の「並んでも食べたいカレー店です。」という殺し文句を信じて訪問したが、
いくら世話に成った人の紹介といってもこんな旨い店があったとは想定外の美味しさの出会いであった。
特に人気No1が焼きカレーというのもすごい。
当店の食材のこだわり、豚肉のみゆきポークの旨みには脱帽だ。
又、ここでもお米、生産者が明記された飯山産のごはんがまたすごかった。
第9位の但馬産コシヒカリが終わったら、こちらの飯山産に切り換えたくらいだ。
ペンティクトンのカレーは病み付きになるとは本当にそうだ。
それにしてもカレーという食材のすごさには改めて考えさせられてしまった。
第7位 お食事処 慶(山口県周防大島)
~番外編142~ 2017-3-2付
今回のベスト10で最も辺ぴな所(瀬戸内海周防大島)にある意外性のある海鮮料理(かっこよく言えば)だ。
見た目は掘建て小屋(バラック)で都内ベスト第8位の「かおたんラーメン」を思い浮かぶ。
前日この前を通って明日の昼食会場はここですと知らされた時、
グルメツアーの皆は一様に驚きの声を上げた。
当店は旅行屋さんは決して連れていかない店、地方でなくてはできない名店だった。
当店は最後の写真のご夫婦がやっていて周防大島の伝統食材(亀の手、いりこ等)を使って
他では出せないものを提供している。
亀の手ラーメン、プリプリのサザエの天ぷらミニ丼、太刀魚ばかりのデラックス定食。
その日の漁師の釣り魚定食、美人オコゼ御膳など素敵なラインアップが続く。
味も最高、マイウーの2.5乗の逸品ばかりだ。
ここは本当に良い店で心も胃袋もフィーバー状態にさせる。
まさにボロは着てても心は錦の店でこういうの好きだナー。
第8位 割烹 喜紫(草津)
~番外編252~ 2019-5-15付
草津温泉にリゾートマンションを所有して約30年。
その間、草津の街の旨い店の開拓をしてきたが、
当店が数十年間の草津エリア旨い店シリーズの総決算と思える程の発見であった。
まさに20年間、特にここ10年間、当店を知らなかったことが一番の驚きである。
草津町にある日本料理店の中では最も本格的な懐石料理店だ。
全国各地にはこのレベルの懐石料理店は数多くあると思うが、第2の故郷と思える草津の地だからうれしい。
そんな気持ちが第8位にランキングさせてしまった。
草津には他に行きつけの店として中国四川料理の「龍燕」(番外編3)、
「地球屋草津」(番外編21・・・閉店したかも?)、菱麦 豚しゃぶ「月や」(番外編35)、
焼肉 しゃぶしゃぶ「したつづみ」(番外編74)、くいもんや「あ・うん亭」(番外編118)等があるが
新たな名店として「喜紫」が加わってより厚みを増した。
第9位 グリル・ド・神戸(神戸)
~番外編194~ 2018-5-7付
社員旅行で来た神戸。
大奮発して7,900円の神戸ステーキのコースを注文。
これが大当たりのステーキハウスであった。
神戸市内には神戸牛のステーキハウスが183軒もあるそうです。
当店はその中で食べログ14位の店だ。
偶然この年の秋には神戸の最高峰・麤川(あらがわ)にも来訪したが(2018-11-20付~番外編222~)、
ここは旨いのは当然決まっているのでベスト10では当店を選出した。
神戸牛は最高級A5級、紀州備長炭で焼き、人肌で溶けるほど沸点が低く、
あっさりとした味わいで、やはり他の和牛とは違っていた。
しかし、ステーキよりも盛り上がったのはごはん。
「こんな旨いごはん一生で初めて食べた」とか「ごはんの香りが強く、甘~い」とか、
何人もの社員からごはんのおかわりリクエストがでた。
こんな現象は滅多に無いことだ。
このごはんは但馬産コシヒカリで、さっそく帰って来て取り寄せ、しばらく我が家で続いた。
第10位 みんみん(宇都宮)
~番外編296~ 2020-2-25付
ぎょうざの街・宇都宮と言われながら、しかもこんなに近い県外で本格的に餃子を食したのは、
お恥ずかしい話、ここが初めてでした。
よく本当の旨い店の情報を得るには地元の人に聞けと言われますが、
今回仕事で来た帰りにタクシーの運転手さんに「みんみん」を推薦されて来た。
ここは栃木県内9店舗あるうちの駅近ビルインの明るく開放的な店だった。
内装壁には私の好きな地元の大谷石を使い重量感があるのも気に入った。
当然オーダーしたのは焼餃子と揚餃子。
さすが、ぎょうざの街で地元の人が推薦した餃子は正直言って最近食べた中ではNo1だ。
特に焼餃子はどこまでも余韻が残り、また是非食べたい逸品であった。
それと同じ位、あるいはそれ以上だったのが1日限定25食の炸醤麺。
ご覧のように光っていて美しい姿。
これがサッパリしていてさわやかな味と食感が口に拡がり、
さいたま市内では味わったことのない逸品だった。
宇都宮へ餃子を食べに足を伸ばす価値のあることがわかった。
特別賞 日本料理 しゃぶ禅(京都)
~番外編166~ 2017-10-5付
23年前アルゼンチン・コルドバ市から
さいたま市立浦和高校に留学に来ていたアレハンドロ・ロマーノ君(愛称アレ君)が
20年振りにサーモンカンバックした。
私は彼のカウンセラー(日本のおとうさん役)をしていたので、一泊二日で京都に旅に出た。
彼の日本での大好物の一つがしゃぶしゃぶだったので祇園にある「しゃぶ禅」さんを予約。
我々(アレ君夫妻)が入店してしばらくすると外国人のグループが入ってきた。
どうやらスペイン人の観光客のようで「しゃぶしゃぶって何?」と議論しているとの事。
アレ君に「同じスペイン語だから説明してあげたら!」と言ったら
ちょっと躊躇していたが、やおらスクッと立ち上がりスペイン人のグループのテーブルへ。
そして手振り、身振りで説明が始まった。(写真)
スペイン人グループは感心したように笑顔でアレ君に質問したりして大いに盛り上がっていた。
この光景は一服のドラマを見ているようで感動したのを昨日のように覚えている。
その舞台が京都・祇園のしゃぶ禅さんだった。