思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

ネコ一匹のえさ待ち姿

2005年07月05日 | 風景

 城山公園の早朝に老婆を待つネコがいる。
  城山公園はその名の通り小高い丘の上にある。 
  春は桜が満開になりかなり花見の頃にはかなりの人出がある。 
  早朝は、散歩の老人が六七人こられるが、その中に二人組みの老婆が入る。城山公園の南に住む方々で散歩がてらネコに朝食を与えている。  

 3年前から私がこの地に住む始め、城山公園経由のジョギングでそのことを知ったからかなり前から朝食を猫に与えているようである。  
 最近は、私の方が早く公園に来るので、朝食を与えている姿を見ることはできないが、ネコは早い時間から、公園内にある上水道の施設前でじっと老婆たちが来る坂の下を見つめている。  
 今朝もじっと坂の下方を見つめる、このネコがいた。  

  青いお空の底ふかく、  
  海の小石のそのように、  
  夜がくるまで沈んでいる、  
  
昼のお星は眼に見えぬ。   

  見えぬけれどもあるんだよ、  
  見えぬものでもあるんだよ。   

  散ってすがれたたんぽぽの、  
  瓦のすきに、だアまつて、  
  春のくるまでかくれてる、  
  つよいその根は眼にみえぬ。   

  見えぬけれどもあるんだよ、  
  見えぬものでもあるんだよ。 
 

金子みすゞの「星とタンポポ」という詩である。  

 心で見ないと何も見えないときがある。 
 ネコ一匹のえさ待ち姿でも、足を止めて見つめれば心で見えることもある。