1日の終わりに ~森真理マンドリン教室~

マンドリンと共に暮らす日常のあれこれを、ほぼ毎日綴っています。

深き山に澄みける月を

2009年11月04日 | Weblog
昨日の聲明の公演『西行マンダラ』はとても印象深いものでした。

私は初めての体験でしたが、当日のスタッフの中には、国立劇場や紀尾井ホールで聲明の公演に携わった人が多かったです。
ホールはどこであれ、とても人気なんだとか。
昨日もチケットは完売でした。

天台宗と真言宗が共演(という言い方で正しいのかしら)するのは珍しいそうです。
オープニングは、法螺貝の吹きかわし。
マンダラ世界の参入の意味も含んでいるそうです。
あんなにそばで法螺貝を吹くのを見たのは初めてでした。

出演者(僧侶?お坊さん?同じ意味?)のみなさんは、3階と2階の上下の扉から入場です。
こんなにたくさんのお坊さんを間近に見るのも初めて。
梵語の讃歌をしながら2階通路とステージまで移動する演出でした。
数か所から聴こえる声でホール全体が包まれ、なんともいえない気持ち。
声の力はすごいです。
途中で蓮の花びらに模した紙を撒くのがきれいでした。

帰り道の月を見て、西行が大峰修行の最中に深仙という場所で月を見て詠んだ和歌を思い出しました。

「深き山に澄みける月を見ざりせば 思出もなき我身ならまし」

想像していたよりもはるかに山また山に囲まれた深い峡の底で、まじかにみえる峰にかかった「月」をみ、その驚くほど単調で静寂で無音の音を発している光景を目の当たりにして、この世にこんな風景もあるのか、この「月」をみなかったら来世までもってゆくこの世の思い出とてなかった。(解説より)

驚くほど単調で静寂で無音の音。
それを月が発しているんですね。
深い峡の底で(しかも修行の最中に)見る月とは比較にならないとは思いますが、昨日の月は本当に静かでした。
無音の音。
引越したこの地では、無音の音を感じられる気がします。
コメント
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