リドリー・スコットの新作がひっそりと上映されていることが不思議でならなかったが、鑑賞して納得しました。普通、映画作家は多少自分を犠牲にしてヒット作品を作りその財でじぶんの本当に好きな作品を作ったりすることが多いが、これがそういう作品ならばリドリー・スコットの映画的資質に疑問を感じざるを得ない。
プロヴァンスに子供時代におじと暮らしていた時の郷愁が主人公の人生への転換となるテーマなのであるが、都会を . . . 本文を読む
昨日はいつも通り天六で映画鑑賞。
ところが、11時からの「ドッグ・バイト・ドッグ」は2時間弱でちょうど終わった後で昼食にいい時間なのだが、2本目の「U・ボート」は上映時間が3時間半なのである。午後3時前の開始時間で、2時間近くある。梅田によって買い物でもしようか、それとも、、ということで、いつもこの商店街は天五まで歩いてそのまま環状線(天満駅)に乗っていたので、今日は時間もあることなのでずっと先の . . . 本文を読む
現代における寺山修司の演劇の意味。今回は人形劇をモチーフに生きることと真摯でいることとその狂気をテンションの高いまるで詩のような高踏的な空間に観客は投げ込まれる。
白のイメージ。顔のドーラン、白い衣装、白一色の舞台装置、時々映える赤い色、仮面。
人間とはいかに狂気になれるのか。人形を操る黒子と操られる人形を通し、それを確かめていく。めちゃ面白い寺山劇だ。 . . . 本文を読む
3時間半になって戻ってきたディレクターズカット版。閉塞的な空間で一人一人の若人の苦悩、未来への息吹、戦争と家族・恋人などを丁寧に描き尽くしたと思う。
意外や戦争映画によくある戦闘場面がほとんどなく、ほとんどが艦内での出来事に終始しているが、まああれほどの男だらけのむささを人間性豊かな映像に変換させているところがまず素晴らしい。まるで寄宿舎の学校のような人間劇のようにも思えるのだ。
とはいえ、潜水艦 . . . 本文を読む
結構新味の香港アクション映画だ。香港映画と来れば、警察の家族的なつながり、愛情、憎しみ、今までもねちっこい秀作も多いが、今回はそれにカンビジアで闘犬のように育った殺し屋との駆け引きが全編を貫く。
主役の二人が実にクールでいい。それらを取り巻く警察陣も芸達者ぞろいで見ている僕も自然と熱が入る。
どうなっていくか分からない展開も面白いが、アクションシーンでの意外シーン(まさかと思う、あっと目を覆う場面 . . . 本文を読む
大正末期の労働争議の状況を一人の女工の視点で社会的なスケールを持って描き切った力作だ。経営者層と警察との結びつき。またヤクザを使っての工作など、綿密な演出には頭が下がる思いがする。
独立プロの映画と思えないほど、結構贅沢なセット、エキストラなどダイナミックだ。現代からこの映画を見れば随分過去のような気もするが、この手のハナシは世界中今でも起こっていることであろう。
2時間20分、まったく退屈せず見 . . . 本文を読む
冒頭部はやはり「用心棒」の亜流ごとく、砂の巻き立つ感じ、通りに誰もいない雰囲気もまさにそれ。でもその部分が結構面白くうならせる。
それ以降娯楽作品に徹した演出だもんで、人間への掘り下げなどなされることはなかったので、何か当時のテレビドラマを見ているつもりになったが、後半からユーモアが漂うになってきた辺りなかなかの時代劇となっている。
やはり、仲代達矢がダントツにいいなあ。彼の前では高橋悦史も中村敦 . . . 本文を読む
作品を通じて軍隊に対する憤りといったものを画面から強く感じるも、あまりに陰湿なので正視することが困難で、どちらかというと見なければよかったと思ってしまった映画であった。
男たるもの、女のくさったような(ゴメンナサイ、差別用語であることは分かっていますが、今はほかには表現のしようがないです。)閉塞的なイジメを軍隊で行っているわけであるが、どうも厭な内容である。戦争を描かないこういう戦争映画もまた珍 . . . 本文を読む
東野のミステリーはホントすばらしい。この作品も古今東西使い古されたマザーグースを題材に暗号という切り口でまったく新しい作品に出来上がっている。
読んでいて西洋のミステリーの匂いがするのがたまらなくいい。
犯人捜し自体はあまり人物を描ききっていないのでそれほど面白くはないが、解決篇の後でも驚くべき真相が待っていたり、深みのあるミステリーだ。あまり知られてはいない作品だが、もっと評価されていい作品だと . . . 本文を読む
間違えて見てしまったような映画です。どう考えても日共系の映画だと思われるが、露骨な背景、展開にもう最初から引き始めて見ていたが、どう考えても会社のスト実行者の支援を受けて、塾代わりに勉強を続ける生徒・それを知りつつ応援する親がいるとは考えられず、何だこれは、と思ってしまう。
しかし、生徒総会での、教師たちの横暴の前に、自然と自主的な気持ちで自らの考えを実践していこうとする生徒たちの描き方は感動的だ . . . 本文を読む
先ほどOK様のBLOGにお邪魔しておりましたら、ワタクシめの日記ごときに関心をお持ちだったことをお聞きし、驚いてしまいました。
映画館に行ったときには義務的にも何か書いていたのでしたが、実はこれがかなり苦痛でもありました。映画評とほとんど同じでもあるし、でも自分が自然と吐露してしまっている日記なるものは実に面倒くさいと思っていたのです。
そうなんだ。そうですね。ぼくも例えばOKさまのBLOGを訪 . . . 本文を読む
この年代の映画って、こんなに粗い作り方をしてたのかな、と思うほど、自然でない脚本の一つ一つのセリフの人工的なこと。主人公が心中にいたるプロセスもあまりに無理がありますね。
で、主眼は主役の二人、関根恵子と篠田三郎のフレッシュぶりに眼が行く。関根の芋ぶりの演技と体つき。これはすごいわ。肉体派だったんですなあ。アブナイアブナイです。篠田は35年前と変わらず。こんな不思議な役者も存在してるんですなあ。ラ . . . 本文を読む
本能といいますか、人間の欲望の中でも最も強いといわれるのは性欲、食欲、睡眠欲などとよく言われますが、この映画のテーマは単純に食欲ではありません。
ある男がある女を好きになった。男は優秀なコックであり、料理をもってして女を愛撫しようとした。女はそれに応え食べるという快感は夫とのセックスを助長するものであった。夫と女は性的快感で倦怠期を乗り越え、子供まで授かる。だが、そのセックスは男が女を想い調理した . . . 本文を読む
やはりドギモを抜く映画であることには違いない。設定が(こういう言い方はよくないんだろうが)尋常でないのであります。
後でよく考えたらこの映画にはまともな美女は出てきません。オンナはいるが、女性はいないようなのであります。(アジア系女性が進行役であるが、かなりブスだったりします。)
最初の10分で、従来になかったセックスシーンが昼日なたに映画館で上映されていることの事実。もちろんモザイク仕様で鬱陶 . . . 本文を読む
主役の新田昌以外は大島渚作品の常連俳優が脇役を占めているので、なかなか興味津々となるべく映画であったが、、。
映画作品で、これだけ作品の中身を掘り下げようとする意思のない映画もまた珍しいのではないか、篠田正浩としては恐らく石原慎太郎に脚本依頼したときからほぼこのことは予想されていたことではあるはずなのだが、、。
何か下手なんだよね。浅い。テーマもはっきりしない。要するに中途半端なんです。まあ、篠田 . . . 本文を読む