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レヴェナント:蘇えりし者 (2015/米)(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ) 80点

2016-04-26 17:49:34 | 映画遍歴

冒頭から芸術風の映像で圧倒される。結構好きなんだよね、こんな写真。よく見ていたら正面からのはほとんどなく、這いつくばった地面から、だんだん上昇して行き、森林の揺れ、そして空をいただくといった感じの絵が続きます。人間が自然の前ではひとかけらの物質に過ぎないといわんばかりですね。

この、一点の細胞に過ぎないディカプリオの追跡が1時間半ほど続きます。いい加減長いなあと思いますが、時間なんて大自然の前では一瞬に過ぎ去るものです。これにもだんだん慣れて来ます。

大自然から一人のちっぽけな人間を覗き込むと確かにこういうもんでしょうな。そんな感覚に捉われて来ます。これはある意味「ファーブルの昆虫記」です。

そしてディカプリオが元いた隊列に戻るところから新たなドラマが始まります。今まで動物記を見てきた吾輩は、楽しめるはずなのにドラマ的な高揚感はそれほどありません。

人類が、原住民同士の戦いを経て、さらに侵略者としての文明人と原住民の戦いを描く過程を見届け、大自然から見たそんな人類の滑稽さをイニャリトゥを通して垣間見ることになる。

神ではなく、自然そのものから見た人間の生半可な姿なんて、こういうものなんでしょうなあ。ホント、滑稽ですなあ。そういう不遜な思いを抱き、映画館を後にする。ああ、けれどやはり2時間40分は長い。何とイニャリトゥは観客に説教的なことか。

思っていたよりディカプリオはセリフも少なく、内面で、肉体で、いわゆるアカデミー賞的な演技をしていました。でもこの映画の真の構想(イニャリトゥの)からすると、少々邪魔というか逸脱気味でしょうか。悪くはないけどね。

坂本の音楽は最初から最後まで不協和音が吹きすさんでいました。打楽器と笛が印象的でした。この音楽がなければ2時間40分は持たなかったでしょう。


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