セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 85本、 演劇 61本

清流劇場「へカベ、海を渡る」(原作・エウリピデス、上演台本・田中孝弥、原作翻訳・丹下和彦 演出・田中孝弥) at一心寺シアター 80点

2024-10-05 19:41:21 | 演劇遍歴

いつも通り前知識ないまま演劇を見る。数あるギリシャ悲劇群のうち、「トロイヤの女たち」は映画、演劇で見てきた。話としては題名通りヘカベを中心にした人間ドラマである。

時代は3200年前の出来事、現代に生きる我々はそこから何を得ることができるか、という普遍的なテーマである。戦争に負ければ王妃といえども、奴隷または愛人に落とされる。それは戦争というもののまさに正体であろう。

ギリシャ悲劇を見るという大げさな構えはこの劇には全く不要であろう。ミュージカル風で、ラストはあっと驚く復讐劇まで用意されていた。かなり娯楽風にしつらえている。これを観客の目線に合わせたとは言わないが、ギリシャ悲劇を分かりやすく表現したという意味では成功であろうと思う。なかなか面白い芝居だった。

ところが、終演後の対談で台本と原作翻訳者との意見の相違が観客の前で延々と繰り広げられ鼻白む。でも、私は、もっと脚本家の自由度を増やしてもいいのではないか、なんて考えてしまった。発表することは脚本家にとっては自分を吐露するということであり、まさに彼らにとって人生を賭けていることでもあるからだ。

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