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エリジウム (2013/米)(ニール・ブロムカンプ) 75点

2013-10-05 13:18:06 | 映画遍歴

館内ではとても高揚し、けれど外気を浴びるとすぐ忘れてしまう映画もある。この映画は何ていうか、もやもやした映画ですね。設定がもろ二極集中の現代世相を反映しているが、あの終わり方でもすっきりしない、、。

よくあるヒーロー型でないのがまずいい。デイモン君は丸坊主で、到底イケメンには見えない。しかもちょろいワルでほとんど刑務所暮らし。食べていくのにやっとの肉体労働をさせられているが、哀しいかな権力者のミスで大量の放射能を浴びる始末。ほとんど救われずみっともなく、見てはいけないようなディモン君がそこにいる。

でも、これがいいんだよなあ。ヒーローではない。社会の下層に位置する虫けらだって生き延びるためには何でもする。エリジウムにさえ行けば命は助かる。そのためにだけ彼は行動を起こす。普通のストーリーだよね。アクション映画を見慣れている人たちからはある意味退屈でさえある。

でもこれがいいんだよなあ。(相変わらず僕もしつこい) そういう普通の、市井の人間が人を救う。これって、ひょっとして(あちこちでキリスト教のうんちくもあったけど)救世主(キリスト)のことを言ってるんじゃあないの?とまで思ってしまう。自己犠牲は絶対、社会変革には必要なのである。

と、映画館を出てから執拗に僕は考える。(そういう高度で良質な映画ではないのになあとは一方では思いながら)

そう、この映画はたとえば現代アメリカもしくは日本などの社会状況構造・グローバル的にはアメリカと発展途上国との関係を揶揄しているように思われる。でもハリウッド的にはこれさえ映画のネタにしてしまう底抜け資本主義の姿を見ているだけなんだという冷酷な事実。

あれほど憎たらしいジョディ・フォスターシャルト・コプリー の熟演技ぶりを見るのも楽しい。見応えがありました。ディモン君は人柄の良さもあるんでしょうが、儲け役です。


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