フェチの映画なので女性ファンがこの作品を見てどうなのか気になるところではあるが、冴えない中年男が少年時代を回顧していく過程がとても新鮮であった。
あれほど数十年前の出来事が少年の原罪のように焼き付いていたということがこの映画のミソなんですね。映像を散らばめてだんだん整理していく方法は面白いが、でもこれも一つのテクにしか過ぎない。この映画の本質ではない。
本質?と言えばやはり腋毛フェチになってしまうんだよね。これは恐らくサトウトシキ(脚本の竹浪春花かな?)の私小説のようなもので、ある意味僕たち観客は彼(あるいは彼女)の性向を無理やり見させられている感がする。あの感覚を女性たる竹浪春花が書いたというのも驚きだ(ひょっとして彼女は男?)。
全体的に落ちついたしっとりとした質感のする佳作である。ただ、平田満の存在が大きく、彼でなければこの色合いは出せなかったような気もする。
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