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半世界 (2019/日)(阪本順治) 90点

2020-04-14 14:05:51 | 映画遍歴

最近力が弱まったと危惧していた阪本のホント、久々の力作だ。彼も吾輩も同じく年を取った。でもこの作品は前期の作品群のエネルギーをしっかりと掴んでいる。枯れてもなおその作品を見つめるまなざしは実に鋭い。

題名が抽象的なのが少し損している感あり。山から見た、海から見た世界。お互いに補ってなおオマージュを持つ。そういう自分から見えない部分を思いやってもいいし、もちろん無視してもいい。でも人間って、お互いまさぐらないと本当の人間関係にならない。そういうシンプルな話なのである。

こういう映画を若い時に見ても感動度が低いだろうなあ。でも吾輩は今やっと同じ視点で阪本を眺めることができる。やっと彼に追いついた感あり。

俳優陣は見事。なかでも池脇千鶴の敢えて女の部分を最小限に、そして人間の幅をきっちり見せる演技。成長しましたね。恐ろしいぐらい。長谷川博己、途中までは主役を奪うぐらいの物言わぬ演技。圧倒的.。 渋川清彦も相変わらずいい。

主役の稲垣吾郎、頑張った。 長谷川、渋川とのシーンでも、ましてや 石橋蓮司が絡んできても、そこそこやってるが、人間の器・スケール感が見えてこない。こればっかりはなあ。準主役の人たちが、もっと抑えていれば、、なんて。でも一人の時の演技は秀逸。

久々に自分の生きてきた歳月を感じながらじっくりと見ることのできた作品でした。阪本、次作がまたまた待ち遠しい。

 


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