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ニュー・ワールド (2005/米)(テレンス・マリック)

2006-04-23 01:10:26 | 映画遍歴
テレンス・マリック7年ぶりの新作。題材は違えども、彼の作品はいつもテーマがひとつ。人間本来の安らぎの場所とはどこか、何なのか、人間と自然との調和、一体感、、なのである。
今回はある原住民の女性を通して、文明、自然、根源的な愛について掘り下げてゆく。本来は1時間半ぐらいの内容なのに、相変わらず丁寧にじっくりと一つ一つの事を緻密に描いている分ゆったりとした時間を伴うことになり、2時間を超える作品となっている。その演出方法は他の最近の映画からすると全く相違があり、或いは苛立つ観客もいるかもしれないほどだと思う。
でも、映像が主役でもある彼の映画は自然と人間の営みが一体化し溶け込むようなタッチで描写するので、緩やかな時間の流れを感じることになる。
女性が砦に来ることになってからの後半の描写は原住民との確執の様子がカットされているので政治的な背景は僕たち日本人にはわかりづらいところだが、アメリカ人にはあたりまえのことなのだろうがどこかで解説して欲しかった。
しかし、クオリアンカ・キルヒャーの演技は鋭い。人間にとって、素朴な愛の強さをひたひたと彼女の表情は語っている。
クリスチャン・ベールも男の優しさを静かな演技で表現する。なかなかいい。驚く。
対してコリン・ファレルは髭の濃さがそれを邪魔しているのか思ったより彼女への思いが表出していない。数年後にロンドンで出会うときの髪型、髭も全く同じなんてね、、。
途中で退出した人も見たぐらい、おおらかな時間の中で映像は流れていくので、最近の映画のタッチに慣れている人はそのスピードについていけないのだろう。
要するに退屈な映画と思われる要素がこの映画にはいっぱいある。
でも、これほど大自然と人間との融合という大きなテーマを映像とモノローグで表現した映画の出現は現代での快挙だと思われる。
僕はゆったりとその映像に触れ、すこぶる至福な時間を保つことが出来た。
映画ファンにとっては素晴らしいひと時である。
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