００７ 慰めの報酬 (2008/英)(マーク・フォースター) 70点

００７をかなり変形した異色作なんだろうなあ、恋人の死を引きずる００７、上司Ｍから疑惑の念を持たれる００７、それらは今までの非人間的ヒーローから僕たち普通の人間に極端に近づいていることを表わしている。

そういう視点からこの映画を見ているから、前作に比してダイナミックさとスピードと、何よりワクワクする面白さに欠けていると思ってしまったのかもしれないが、何か切れが悪いんだよなあ。

やはり００７は心のどこかで超人的なる対象として捉えているのかもしれない。謎の女【オルガ・キュリレンコ】は魅力的だけれど、ある意味００７の分身でもあるから今回はセックスもなくサービス不足だし、【ジェマ・アータートン】を『ゴールドフィンガー』並みに皮膚呼吸させずに殺戮しても２番煎じだし、何かスカッとしない展開でありまする。

まあ魅力的だったのは悪役のマチュー・アマルリックの存在でしょうか、、。これも最後のあの殺し方はゆるーくてこの映画の性格を象徴しているようでもある。

僕の個人的な好みからいえば、ナーバスな００７は必要ない。恋する人が死んでもその悲しみは一瞬であってほしい。それを前作から引きずり、最後まで充満させた【マーク・フォースター】の罪は重い、と思ってしまうのであるが、皆さんはいかがですか？。