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キムチを売る女 (2005/中国=韓国)(チャン・リュル) 90点

2007-09-25 23:03:12 | 映画遍歴
ものすごい映画を見てしまった。まず、北欧のドグマ映画のように音楽は一切ない。1カット1シーンの連続。全篇緊張感の漂う気を抜けない映画になっている。
ファーストシーン、リュ・ヨンフィのきついまなざしが工場跡のような建物のブルーの窓枠の向こうから見える。この映画は構図が縦横のアウトラインが強く色彩も鮮やかで、まさに全篇絵画のようだ。
その作家風孤高の映像に僕は震える。映像でどんどん押し通していくこんな映画が好きなんだ。最近とんとこういう作家映画を見なかったので僕の内的映画高揚感が続く。
作品の内容は、朝鮮族という民族の中国にいながら中国人でなく、もちろん朝鮮からも朝鮮人でなくなっているぎりぎりのエトランゼ的な心情と民族的な誇りを持つ主人公を通して、人間不信・絶望・震えるばかりの憎悪をトーンを落とした映像に描き尽くす。人間って本当に残酷だなあ。
韓国でこんなスケールの大きい映画作家が誕生していることは驚いた。韓国映画という枠を超え、世界有数の映画作家に匹敵する作品だと思う。嬉しい限りだ。

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2 コメント

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Unknown (バオバブ)
2007-09-29 23:43:39
まず題名に強く惹かれました。
全編絵画のようだ...という言葉によりいっそう...

観ていないのですが、多分好きな映像だと思います。

個人的には監督名がど忘れしてますが、(あららっボケ女)
青いパパイヤの香り、シクロ、夏至は好きな作品です。
あの色合いを観ていてうっとりしたものです。
そういえば彼の作品はどうしたんでしょう?

台詞がなくてもこころの中が覗けるストーリーって、
やはり俳優さんの上手と演出の細かさでしょうね。

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そういえば新作見ないですね。 (ヌートリアE)
2007-09-30 13:02:06
こんにちは。
僕もトラン・アン・ユンの映画は大好きです。
「シクロ」が特にいいですね。トニー・レオンはあの作品で男を上げましたね。
何か、新作はスリラーで、イ・ビョンホンが主演するって聞きましたけど、、。どうなんでしょうか。
「キムチを売る女」は豊穣な色を使った絵画というより、どちらからというとシスレーのような色合いです。寒色が強い色合いですね。
では、また。
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