『高田渡読本』(CDジャーナルムック、音楽出版社)という本が出ていた。
高田渡のCDを聴いたりしながら、楽しく、しみじみと読んでいる。ディスコグラフィーの解説では、館野公一氏が、「生活の柄」について、こう述べている。
国歌斉唱と言われたとき、この歌を歌ったら、戦争をやろうとか、兵隊に行こうとは思わないのではないか。この歌は何かを変えられるのではないか。
通勤電車のなかで、ついククッと笑ってしまった。そうだそうだ、それがいいと思った。
96年か97年頃、新宿ピットインに板橋文夫を聴きに行ったら、大工哲弘が共演していて「生活の柄」を歌った。初めて聴いて気になったので、友達(いまの妻)に、これこれこういう歌で、と説明したら、それは「生活の柄」だと教えてくれた。詩を書いた山之口獏については、その後に知った。
山之口獏の詩に曲をつけたCD『獏』(B/C RECORDS)(過去の記事参照)では、その大工哲弘と高田渡とが「生活の柄」で共演している。ハモろうという気がさらさらなさそうなのが笑える。
『ごあいさつ』(キング、1971年) 若い声の「生活の柄」が聴ける
『よろん小唄(十九の春)・ラッパ節』(B/C RECORDS、1998年) 金城恵子との共演、バックに嘉手苅林次や渋谷毅 (曲はこの2曲)
「生活の柄」はレコード、ライブで何十回も聞いていて、自分でも歌っていたのに、「国歌に」などと思ったのは初めてでした。同書のレビュー、名所巡り、インタビューは自分にとって大変楽しい仕事でしたので、読んだ方のレスポンスを聞くのは楽しみです。今はこうしてネットを通して、ひとりひとりの読者の方に触れることができるのも面白いですね。
沖縄、ジャズなど興味深い記事をお書きになっているのを拝見しました。またお邪魔させていただきます。
ご本人からのコメント光栄です。
『高田渡読本』は、好きな方々が楽しんで作り上げたのだろうなという雰囲気が伝わってきて、嬉しく読むことができました。
なかなか高田渡さんのことについてまとまったものがありませんでしたので、読みながらへええと言ってしまう箇所も多々ありました。『Best Live』を発売直後に買って聴いていると、ツマが「あっ、私このライブに行ったぞ」などと言い出したりして、しかし実はそのCDはすぐに回収されていた、など。(すごく俗人的な喜び。)
またよろしくお願いします。