Sightsong

自縄自縛日記

アニメ『ゴールデンカムイ』

2020-06-11 09:30:10 | 北海道
明治末期のアイヌ世界を描いた『ゴールデンカムイ』、amazonでのアニメの無料配信が終わってしまうというので慌てて観た。第1クールの第2期まで全24話。札幌などより港町の小樽が栄えていた時代で、開拓民・屯田兵や東北のマタギとの交流もあって、いやおもしろいおもしろい、あっという間。10月から放送の第3期が楽しみ。いろいろネタが散りばめられていて以下備忘録。
【食文化】
鹿、行者ニンニク(アイヌネギ)、カジカ、鮭のルイベ。ラッコの肉って匂いだけで発情するの?(笑)退院したら、大久保のアイヌ料理店ハルコロを再訪することを決定。カジカの旬は冬だろうけれど。不死身の杉元は干し柿が好物だというが、アイヌの少女アシリパはそれを知らない。柿の木は一部をのぞき北海道にはなかった。あっそれからにしんそば。小樽、鰊御殿だもんね。
【音楽】
うたの他に、ムックリ、樺太から持ってきたというトンコリも登場。もちろん現代の安東ウメ子、OKI、マレウレウらにつながる糸を意識。きのうたまたま、東トルキスタンにルーツをもつトルコ生まれ・スイス在住の歌手サーデット・テュルキョズさんとマレウレウのRekpoさんを相互にご紹介したのだけれど、なにかおもしろい展開があれば。。。
【旧政府軍】
箱館戦争で死んだはずの土方歳三が暴れているのにびっくり。サッポロビール創業者の村橋久成の話が出てくるが、彼は新政府軍に従軍した人。土方が敗けたのは悔しいがビールはうまいと口走ったという設定でおもしろい。
【万年筆】(※好きなのだ)
土方が脱獄王白石の顔に万年筆でいたずら書きする場面がある。まだセーラーやプラチナは創業される前、日本橋の丸善は輸入して取り扱っていたはず。キャップに3本線が入っているタイプだけどなにをモデルに作画したのだろう。
【網走監獄】
のちに共産党一斉摘発の三・一五事件(1928年)以降、徳田球一や宮本顕治が収監された過酷なところで、吉村昭の傑作『破獄』もある。この時代はどうなのかと注目したら、やはり政治犯をかなり厳重に監視するとともに、炭鉱労働やケシ栽培などの汚れ役も押し付けていたといった描写。
【歴史】
わたしがアイヌ民族のことを意識したのは本多勝一『先住民族アイヌの現在』(1993年)を読んでからのことで、同時期に故・萱野茂氏がアイヌ初の国会議員になった。そのあとは関連書をときどき読んできたくらいなので、『ゴールデンカムイ』のような作品はイメージが膨らんで良いな。再読したい本は、新谷行『アイヌ民族抵抗史 アイヌ共和国への胎動』(1972年)(第3期以降、少女アシリパがなんらかのシンボルとして利用されそうな予感があるので)、瀬川拓郎『アイヌ学入門』(2015年)、野添憲治『開拓農民の記録』(1976年)(棄民政策としての開拓史を、台湾、樺太、朝鮮、満州だけでなく戦後の千葉や東北などとも同じ視線の中に入れるため)、姫田光義編『北・東北アジア地域交流史』(2012年)(モンゴル帝国と樺太アイヌとの交易に言及)、井上勝生『明治日本の植民地支配』(2013年)(一連のアジア侵略に先立ってアイヌ民族支配が事前検討のようになされていたとの指摘)、その他もろもろ。ずっと読もうと積読の、岡和田晃、マーク・ウィンチェスター編『アイヌ民族否定論に抗する』(2015年)も早く読まないと。それから知里真志保のこと。野田サトルの原作漫画。
【社会見学先】(※エンドロールに出てきた先+α)
博物館網走監獄、小樽市総合博物館、平取町立二風谷アイヌ文化博物館、アイヌ民族博物館、萱野茂二風谷アイヌ資料館、月形樺戸博物館、野外博物館北海道開拓の村、小樽文学館(小熊秀雄、小林多喜二)、北大旧理学部博物館。
 

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