Sightsong

自縄自縛日記

細田晴子『カストロとフランコ』

2016-04-16 23:54:30 | 中南米

細田晴子『カストロとフランコー冷戦期外交の舞台裏』(ちくま新書、2016年)を読む。

キューバ革命の立役者にして生きる英雄フィデル・カストロと、スペインの独裁者フランシスコ・フランコ。まったく思想も評価も異なりそうなふたりだが、外交において通じ合うところがあったのだという。

キーワードは愛郷心(ふたりともスペインの北西部をルーツとする)、反米感情、軍人としての感情、独自外交。そう言われてみれば、キューバに住むスペイン系住民は多いし、カストロも家父長的な為政者であったし、キューバ事件やスペイン市民戦争のイメージだけで政治の旗色を決めてしまうことは単純に過ぎるように思える。

それはそれとして、情報がとっ散らかっていて、ダメなまとめ方の典型に見える。「あれもある、これもある」で記述したうえで、かれらは一本筋が通った政治家が好きであったとか、モラルを重視したとかいったことを結論のように提示されると、脱力してしまう。

●参照
太田昌国の世界 その24「ゲバラを21世紀的現実の中に据える」(2014年)
太田昌国の世界 その10「テロリズム再考」(2011年)
『情況』の、「中南米の現在」特集(2010年)
中南米の地殻変動をまとめた『反米大陸』(2007年)
チェ・ゲバラの命日
沢木耕太郎『キャパの十字架』(2013年)
スペイン市民戦争がいまにつながる
ジョージ・オーウェル『カタロニア讃歌』(1938年)
ギレルモ・デル・トロ『パンズ・ラビリンス』(2006年)


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