Sightsong

自縄自縛日記

浅川太平『Waltz for Debby』

2019-03-25 17:10:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

浅川太平『Waltz for Debby』(Cortez Sound、2018年)を聴く。

Taihei Asakawa 浅川太平 (p)

ビル・エヴァンスが弾いた曲ばかりのピアノソロ2枚組。「Waltz for Debby」、「My Foolish Heart」、「Gloria's Step」、「Alice in Wonderland」など、エヴァンスの強烈なイメージが耳に染みついているのに、他のリスナーもそうに違いないのに、蛮勇か。

しかし聴いてみるとまったくエヴァンスのピアノとは別世界。噛みしめるように、確認するようにして、強く鍵盤を叩いている。エヴァンスの影はどこかに消えてしまっている。新鮮。


蓮見令麻+長沢哲@福岡New Combo

2019-03-25 15:14:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

福岡のNew Comboで行われた、蓮見令麻・長沢哲デュオ(2019/2/20)。その際に録画されたものを観た。

Rema Hasumi 蓮見令麻 (p, vo)
Tetsu Nagasawa 長沢哲 (ds)

最初はそれぞれのソロ。それももちろん良い。しかし、むしろ、興味はデュオで何が起きるかにある。そしてそれは対話の過程として目が醒めるようなものだった。

蓮見さんは言葉を発し、長沢さんはブラシの領域の響きで世界を醸成しようとする。ここで蓮見さんが「What is the word?」と呟きピアノを弾いた直後に長沢さんが横の鐘で星を散らし、ちょっとぞくりとさせられる。ブラシにはノイズが混じってゆき、やがて、ドラムというマテリアルがマテリアルであることに開き直ったような迫力があって、それならばとピアノも並走し、強度が増してゆく。マレットに持ち替えると音が複層性を増し、それによる別の世界を創ろうとするように見える。

再び蓮見さんが言葉を紡ぐ、それに呼応する長沢さんのマレットは次の展開にむけて思索しているようだ。飛翔するピアノ、リズムを頑なにキープするドラム、このあたりに緊張感が走っている。発展させる響きが楽器によって異なることは当然なのだけれど、それらの差異と重なりとにずっと意識が引き寄せられる。スティックによる覚醒もその後にやってくる。そしてマレットとピアノとで、不思議なほど喜びが沸き起こってくる時間が訪れる。また鐘により星が空に撒かれる。

アンコールによる短めの演奏も、その共有しえた音世界をもとにしているようで、聴いていて嬉しくなってしまう。

●長沢哲
長沢哲+齋藤徹@ながさき雪の浦手造りハム(2018年)
長沢哲+近藤直司+池上秀夫@OTOOTO(2018年)
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
#07 齋藤徹×長沢哲(JazzTokyo誌、2017年ベスト)
長沢哲『a fragment and beyond』(2015年)

●蓮見令麻
蓮見令麻<COSMIC SOUNDSCAPE>@公園通りクラシックス(2019年)
Seshen x 蓮見令麻@喫茶茶会記(2017年)
蓮見令麻@新宿ピットイン(2016年)
蓮見令麻@荻窪ベルベットサン(2015年)


横川理彦+高橋麻理絵@東北沢OTOOTO

2019-03-25 14:40:56 | アヴァンギャルド・ジャズ

東北沢のOTOOTO(2019/3/24)。

Tadahiko Yokogawa 横川理彦 (vln, PC)
Marie Takahashi 高橋麻理絵 (viola)

ベルリン在住の高橋麻理絵さんが帰国中ということで、この日に行ってきた。

横川さんのヴァイオリンと高橋さんのヴィオラとのデュオは、なかなか普段使うことがないレセプターを刺激するような感覚。擦音を多用し、これらの弦楽器からみればマージナルな音領域なのだが、それをサウンドのスパイスとして利用するというより、中心に据えてその部分をこそ増幅している。だから聴く者にとっては解放でもある。

一方、横川さんが高橋さんのヴィオラの音を拾い、PCに取り込んで加工するときは、閉ざされた音領域をぐるぐると螺旋を描いているようで、気が付くと意識がどこかに飛んでしまっていた。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●高橋麻理絵
Cool Meeting vol.1@cooljojo
(2018年)